タブレット持ち込みは「品位に欠ける」? 衆院事務局は疑問にどう答えたか

原稿を電子画面で読むためなどに使うタブレットの本会議持ち込みについて、衆院議会運営委員会メンバーの勉強会で「品位に欠ける」などといった見方が示されたと報じられ、疑問や批判の声がX上などで相次いでいる。

ペーパーレスの時代なのに、時代錯誤ではないかといった理由からだ。なぜこのような見方が出たのか、衆院事務局に取材した。

「時代錯誤も甚だしい」「ヤジの方が品位に欠けるのでは?」

報道によると、議運内の勉強会「国会のデジタル化に向けた各会派代表者による検討会」は、オンラインでの参考人質疑や委員会室におけるスマートフォン使用などを議論するため、2024年1月30日にスタートした。河野太郎デジタル相が23年11月、スマホで検索しながら参院予算委員会で答弁して委員長から注意されたことがきっかけの1つになったという。

3月5日にあった2回目の検討会では、請願内容を議員に伝える文書と委員会の議事経過報告書をペーパーレス化することで合意した。産経新聞の同日付ウェブ版記事では、タブレットを本会議で使用することも議論になり、自民党が「品位」などを理由に否定的な立場を示し、共産党も慎重姿勢を崩さなかったと報じた。

この報道は、X上などで大きな話題になり、様々な意見が寄せられている。

タブレット使用は品位に欠けるとの見方については、批判が次々に寄せられた。「自分たちを貴族か特権階級とでも思っているのか」「『品位』を理由に否定するなど、時代錯誤も甚だしい」といったものだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は、本会議でのタブレット使用は同党から提案したとX上で説明し、「品位に欠けるとして却下。ヤジの方が品位に欠けるのでは?」と疑問を呈した。

地方議会の一部では、タブレット使用が進んでおり、各議員からもX上で異論が出た。「調べて理解度高められるし、メリットしかない」(自民党の坂本龍佑西宮市議)「国会が最もICT化が遅いのか」(日本維新の会の神戸鉄郎所沢市議)といった意見が与野党双方から書き込まれている。

「国会で議論してきた過去の経緯から、品位の問題も関係」

それでは、一体なぜ、議場でのタブレット使用は品位に欠けるとの見方が出てきたのだろうか。

衆院議院運営課は3月6日、J-CASTニュースの取材に対し、品位については検討会の中で事務局が持ち出したことを明らかにした。

衆議院規則の第211条で、「議員は、議院の品位を重んじなければならない」とあり、国会で議論してきた過去の経緯から、タブレット使用については、品位の問題も関係すると説明したという。

過去の新聞報道を見ると、衆院では20年11月24日、委員会でのタブレット使用については、合意が得られ通信機能を使わないことを条件に、議運の理事会で認められた。ただ、その際に、「議院の品位の保持に努める」と明記されていた。

議院運営課によると、検討会では、自民党が合意しなかったため、タブレット使用については、継続して協議することになった。なお、衆院では、本会議でタブレットなどの電子機器の使用は原則不可となっている。

また、議事課によると、18、19年に立憲民主党の逢坂誠二氏、国民民主党の玉木雄一郎氏がそれぞれ、本会議でのタブレット使用を申し入れたが、議運の理事会で認められず、引き続き協議することになっていた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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