英財務相、国民保険料率引き下げ 総選挙控え家計の負担軽減

David Milliken Kylie MacLellan

[ロンドン 6日 ロイター] - 英国のハント財務相は6日、議会の春季財政報告(春の予算編成方針)で、労働者が納める国民保険料率を2%ポイント引き下げると発表した。引き下げはこの3カ月余りで2度目。

年内に見込まれる総選挙を控え、スナク首相が率いる保守党は支持率の回復を狙っている。

児童手当の対象を拡大するほか、燃料税を凍結し、酒税の一部減免や低所得世帯の支援を延長する方針も示した。生活費高騰に直面する国民の負担軽減策の規模は139億ポンドに上った。

ハント氏は「一時的な生活費支援だけでなく、恒久的な負担軽減で家計を支援する」と表明した。

金融市場は予算案にほとんど反応を示さなかった。2022年9月にトラス前首相が減税の発表で市場を混乱させた状況とは対照的となった。

みずほのシニアエコノミスト、コリン・アッシャー氏は予算案に「地味だが妥当な項目が多数盛り込まれたものの、経済あるいは政治的に目立った変化をもたらす内容はなかった」と指摘した。

予算案によると、国民保険料軽減などの財源を確保するため、エネルギー企業の追加課税を1年延長するほか、電子たばこやたばこの税率を引き上げる。また、エコノミークラス以外の航空券も増税の対象とする。

さらに、英国に「非定住者」として4年以上住む外国人の国外所得にも課税する。

予算責任局(OBR)による24年の経済成長率見通しは0.8%で、昨年11月時点の0.7%から小幅に上方修正した。25年も1.9%に引き上げ、26年は2.0%と予想した。

インフレ率は数カ月以内に2%を割り込む水準に低下すると見込んだ。

© ロイター