【金鯱賞】開催初週なら先行馬がセオリー 血統傾向に合うノッキングポイント

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傾向解説

大阪杯のステップレースに位置づけられる金鯱賞。3月開催になったのは2017年からで、2020年は6日目の開催だったため、今年と同じ開催初週に行われたのは2017~19、21~23年の計6回です。

これらの年で目立つのは前有利のポジションバイアス。開幕週、かつスタート後300m程で1角を向かえるコースレイアウトから、直線距離412.5mの印象に反して先行馬に楽な展開になりやすいのが初週に行われる金鯱賞の特徴です。該当年の逃げ馬は2勝2着3回と抜群の成績を残しており、前走初角位置別成績においても5番手以内の競馬をしていた馬の成績は超優秀。2021年に10番人気で勝利したギベオンなど穴馬の好走も多いため、まずは先行馬を中心に馬券を組むのが金鯱賞のセオリーといえるでしょう。

<前走初角別成績(2回開幕週に行われた近6回)>
~5番手【3-3-3-16】勝率12.0%/連対率24.0%/複勝率36.0%/単回収率931%/複回収率204%
6番手~【3-3-3-39】勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率18.8%/単回収率16%/複回収率34%

血統面ではディープインパクト系キングカメハメハ系など日本の主流系統が中心。直線の長い芝中距離戦という日本の主流条件のため、この血統傾向は特殊な馬場状態にならない限り今後も変わることはないでしょう。

ただし、主流系統の中でも機動力や馬力に寄った配合馬により適性が向くという点も抑えておきたいポイントです。その代表的なスパイスがRoberto。過去10年で同血脈を内包する馬が7勝をあげています。またRobertoの血を母方に持つ主流系統馬の好走例も非常に多いです。他場の直線の長い芝中距離戦よりも機動力と馬力寄りの適性が求められるのが中京競馬場の特徴でもあるため、Robertoなどの欧州的スパイスが穴馬の隠し味となっています。

<父系別成績(過去10年)>
ディープインパクト系【4-5-5-27】勝率9.8%/連対率22.0%/複勝率34.1%/単回収率578%/複回収率122%
→母系Roberto持ち【3-1-1-7】勝率25.0%/連対率33.3%/複勝率41.7%/単回収率1944%/複回収率227%
キングマンボ系【3-0-4-17】勝率12.5%/連対率12.5%/複勝率29.2%/単回収率61%/複回収率96%
→母系Roberto持ち【2-0-0-3】勝率40.0%/連対率40.0%/複勝率40.0%/単回収率270%/複回収率82%

血統解説

・ドゥレッツァ
母モアザンセイクリッドは2013年ニュージーランドオークス馬。本馬は父にキングカメハメハ系ドゥラメンテを配した芝中長距離馬で、馬体重460キロ台の比較的小柄な馬体でもあります。中京芝2000mは適性内の舞台ではありますが、今回は大幅な距離短縮でのポジション取りが課題となりそうです。

・プログノーシス
母ヴェルダはイギリス産の繁殖牝馬で、ヨーロッパ繋養時代には2013年チェヴァリーパークS勝ち馬Vordaなどを出しています。本馬は大種牡馬ディープインパクトを父に配し、母方にRobertoの血を持っています。同じ組み合わせからは2021年ギベオンなど複数の好走馬が出ています。血統面については言うことがないでしょう。ただ、本馬自身は先行力に課題があるため、少頭数になった昨年は勝ち切れたものの、金鯱賞本来の特性は大きなハードルとなるでしょう。

・ノッキングポイント
母チェッキーノは2016年オークス2着馬で、母の全兄には2013年皐月賞3着馬コディーノなどがいます。初仔の本馬はモーリスを父に配し、サンデーサイレンスの4×3、Sadler's Wells≒Nureyevの4×5、Riverman≒Mill Reefの5×6など父母の良さを生かしたバランスの良いマイル~中距離向きの配合形といえるでしょう。Roberto系モーリス×キングカメハメハの組み合わせも金鯱賞にピッタリです。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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