【ススキノ首切断】 親子3人を起訴 娘は"殺人罪" 父親は頭部損壊の様子をビデオ撮影 浮かび上がる"いびつな親子関係"…裁判まで1年以上かかる見通しも

瑠奈被告と修被告

2023年7月、札幌市ススキノのホテルで男性を殺害し頭部を持ち去ったとして親子3人が逮捕された事件。札幌地検は3月6日、実行役の娘を殺人などの罪で、両親を殺人や死体遺棄のほう助などの罪で起訴しました。殺人などの罪で起訴されたのは札幌市厚別区の無職、田村瑠奈被告(30)、殺人ほう助などの罪で起訴されたのは父親の田村修被告(60)、死体損壊ほう助などの罪で起訴されたのは母親の田村浩子被告(61)です。

死体損壊の様子をビデオ撮影

起訴状によりますと、娘の瑠奈被告はススキノのホテルで、被害男性の首などを刃物で複数回刺して殺害し、ノコギリなどを使用して首を切断。頭部をキャリーケースに入れてホテルから運び出し、その後、自宅で頭部から皮膚をはぎ取るなどしました。父親の修被告は、瑠奈被告をホテルから車で連れ帰り、瑠奈被告が頭部を秘匿することを容認し、瑠奈被告が頭部を損壊する様子をビデオで撮影。また母親の浩子被告は、瑠奈被告からビデオ撮影を頼まれ、修容疑者に撮影を依頼しました。

事件から起訴までの流れ

事件から起訴までの流れ

事件発生から起訴されるまでの流れは以下の通りです。<2023年>7月1~2日 札幌市ススキノのホテルで事件発生頭部のない遺体発見7月24・25日 死体遺棄などの疑いで親子3人を逮捕8月14日 親子3人を殺人の疑いで再逮捕8月28日 鑑定留置を開始<2024年>2月28日 鑑定留置が終了3月6日 親子3人を起訴(父親と母親は殺人での起訴は見送り)頭部のない男性の遺体が発見されるというショッキングな事件。逮捕されたのは女とその両親という異例の展開を経て世間の注目を浴びる中、半年間という長期にわたる鑑定留置が行われました。

異例の半年間の鑑定留置 精神鑑定どのように?

鑑定留置とは

鑑定留置は、当時の心理状態が事件にどう影響したかなどを調べるために行われるものです。精神鑑定でどのようなことをするのか。数々の精神鑑定を行ってきた専門家は一般論と断ったうえで以下のような項目をあげます。■精神状態が事件にどう影響したか 医師が面接や検査を行う→幼少期のころからの話を聞いたりする■通常は2~3か月の期間で行う→今回は異例の6ヶ月という長期の鑑定留置■原則として検察官による取り調べは行われない面接に加え脳波などの身体検査や心理検査などを組み合わせ、当時の心理状態が事件にどう影響したのかを調べます。医師が面接や検査を行うので、事件の真相や背景は鑑定留置の段階では分からないということです。

親子3人の起訴で明らかになったこと

親子3人の起訴で明らかになったこと

今回の起訴により、親子3人の役割分担が明らかになってきました。田村瑠奈被告(30)は、被害者の首を折りたたみナイフで刺し殺害。のこぎりなどで首を切断し、切断した頭部を自宅に持ち帰り刃物で傷つけ、殺人や死体損壊などの罪で起訴されました。父親の田村修被告(60)は、ノコギリなど凶器などを一緒に購入し、娘の瑠奈被告をホテルまで送迎。瑠奈被告が頭部を傷つける様子をビデオで撮影するなどし、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪で起訴されました。母親の田村浩子被告(61)は、夫の修被告にビデオ撮影を依頼するなどし、死体損壊ほう助などの罪で起訴されました。

事件の背景 いつ明らかになるのか

事件の背景 いつ明らかになるのか

元検事の磯部真士弁護士によりますと、裁判は親子3人別々に行われる可能性が高いとみられています。裁判員裁判が始まる前に、争点を整理する「公判前整理」が行われますが、これには1年以上かかるとみられ、事件の真相が見えてくるのもこれ以降とみられます。裁判員裁判で争点となるのは、瑠奈被告に「刑事責任能力」があるのかどうか。さらに修被告と浩子被告の両親が実際に犯行を手伝っていたのかどうか「実行行為」の有無が問われます。裁判員裁判は1〜2週間で結審となり、判決が出るとみられています。異常な展開を見せた事件なだけに、裁判の行方に注目が集まります。

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