【DeNA】「打てる1番になりたい」 “ハマの一番星”ドラ1度会隆輝が打力と脚力を武器に埋めるベイスターズの弱点

☆前評判通りの活躍

3球団競合の末、ドラフト1位でベイスターズに入団して以来、明るいキャラクター含め各方面から脚光を浴びていた度会隆輝。その勢いはオープン戦に入っても止まることなく、社会人No.1野手の前評判に恥じぬ活躍を見せている。

昨年のベイスターズは1番が固定できず、トータルでの打率.221、出塁率.287はともにとリーグワーストと、主軸に打点王の牧秀悟と首位打者の宮﨑敏郎を擁しながらも多彩な攻撃が仕掛けられなかった現実がある。
そんな切実な事情もあったことで、ベイスターズが度会をドラフトで交渉権を獲得した後には「父親(博文氏)から横浜高校進学の相談も受けた」と旧知の仲である鈴木尚典バッティングコーチが「1番に入ってくれたら」と早くから期待。本人も2022年のENEOSでプレーしていた際は「大久保監督がずっと1番で起用してくださっていて、すごく好きな打順です。かっこいいですしね」とプロ入り前からリードオフマンの経験もあったこともあり前向きに捉えていた。

実際プロ入り後の実戦に入った当初は3番での起用もありながら、最近は1番ライトで固定されている。内容も積極的に振りに行きながらも、ボールの見極めも素晴らしく、さらに巧みなバットコントロールで粘るなど、簡単にアウトにならない嫌らしさでトップバッターとして高い適正能力を見せ続けている。また脚力もストロングポイントのひとつで、リーグワーストの盗塁数33ともう一つの課題である機動力向上の面でもキーマンになる。

三浦監督も「初見のピッチャーでもしっかりコンタクトが出来る」と非凡なバッティングセンスに高評価。また「常に塁に出たら走る、次の塁を狙うということも出来てきている」と監督就任時から追い求めているヒットやホームラン以外の部分で“いかにしてホームを踏むか”の理想の野球を具現化する存在として期待は大きい。

☆トップバッターの矜持

度会本人は「1番で使ってもらってる以上は、一番の自分のセールスポイントのバッティングでチームに勢いづかせたり、 フォアボールでもデッドボールでの出塁も含めての得点、得点圏での打点もですね」とトータルでチームに貢献したいと告白。なかでも「1番は最初からチームを勢いに乗らせるような、いい風を持っていけるようにしたいです。1番はすごい大事な打順だと思ってるんで、自分は打てる1番になって、チームに 勝利を持ってこれるような1番バッターになると考えてやっています」と野球において大切な“ゲームの流れ”を自らのバットで自軍に引き寄せる役目を担いたいと高みを見据える。 走塁面でも「チームからも足もどんどん使って貢献してほしいっていうことを言ってもらってるので、積極的に走塁面でもこれから先も全力でやりたいと思います」と決意表明した。

キャンプでは「盗塁のスタート、ベースランニング、ベースの踏み位置、 打球の見方とかも含めてもう全て1から教わるぐらいの感覚で聞いています。新しいことがたくさんです」と球団最多盗塁数355を誇る石井琢朗コーチの教えに心酔。「社会人でやってたこととはまた違うこともたくさんあるので難しいところもありますけど、しっかり吸収して自分に生かせるようにやっていきたいと思います。コーチの期待に応えられるように、走る面でも貢献できるようになりたい」と、足の部分もブラッシュアップを図ると目を輝かせた。

天性の明るさですでにファンの心を掴んでいるが、選手間でも昨年まで寮長を勤め、常に若い選手に目を配らせていた益子京右が「度会のことを嫌うひとはいないと思います」と証言するほど裏表のない性格も大きな武器に持つゴールデンルーキー。現時点での活躍にも「もっともっと自分はやれる」とどこまでもポジティブな思考を胸に持ち続ける“ハマの一番星”はリードオフマンとして、愛するチームにいい浜風を吹き込ませてくれそうだ。

取材・文●萩原孝弘

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