日田市池ノ鶴地区に治山ダム整備へ 昨年7月の大雨で棚田に土砂流入、25年度末に完成予定【大分県】

棚田を覆った土砂や流木=昨年7月、日田市
山腹が崩壊し、土石流が発生した現場(県西部振興局提供)=昨年7月、日田市

 【日田】県は昨年7月の大雨で棚田に大量の土砂が流入するなどの被害が出た日田市池ノ鶴地区に治山ダムを整備する。地区は過去にも大雨で被災しているが、今回は山自体が崩れたため、ダムを設置することにした。棚田が広がる同地区は、小鹿田焼の窯元がある皿山地区と共に国の重要文化的景観に選ばれている。

 池ノ鶴地区は7月の大雨で山腹が崩壊し、土石流が発生。渓流に沿って土砂、木などが棚田や道路に流れ込み、田と田の間にある石積みにも被害が出た。皿山地区でも陶土をたたく唐臼(からうす)が流されたり、壊れたりした。

 ダムは今後、発生する可能性がある災害を想定し、4千立方メートルの土砂を受け止める構造。ダムの総延長は67.5メートルで高さ9メートル。下方にダムを越えた水を受ける堤防を二つ造る。景観に配慮し、石積み模様にする。2025年度末の完成予定。事業費は約2億5千万円。

 県西部振興局農林基盤部の末広理部長(56)は「ダムで山を守ることによって、下にいる住民や農地を守りたい」と話した。

© 有限会社大分合同新聞社