「泳げないカバ」の還暦祝う 長崎バイオパークのモモ 育ての親の園長「長生きしてね」

“還暦”を迎えたモモにスイカをプレゼントする伊藤園長=西海市、長崎バイオパーク

 長崎県西海市西彼町の長崎バイオパークの人気者で、「泳げないカバ」として有名になったモモ(雌)が6日、30歳の誕生日を迎えた。同園は人間の年齢で還暦を迎えたとして祝った。カバの寿命は約40年とされる。
 モモは同園生まれで、当時体長80センチ、体重32キロ。肌寒い日の夕方、カバの池展示場の陸上部分で見つかった。通常は水中で出産し授乳するが、陸上出産だったため、ミルクを飲めず、足もけが。瀕死(ひんし)の状態だったという。
 当時、飼育員だった伊藤雅男園長らが親元から引き離し、24時間体制で監視。体調が回復した後、展示場に戻したが、母親が子どもと認識しなかったため、日本で初めて人工保育に取り組んだ。
 陸上で育ったため泳げないことも判明。伊藤園長らが半年ほど他の池で訓練し、泳げるようになった。これまで5頭の子をもうけ、孫も1頭。現在の体重は約1.6トン。大の食いしん坊で伊藤園長が呼ぶとうれしそうに尻尾を振るという。
 この日、展示場前でお祝いのイベントがあり、育ての親でもある伊藤園長が飼育の苦労話などを披露。還暦に赤いちゃんちゃんこを着る風習にちなみ、実が赤いスイカを沖縄から取り寄せてプレゼント。伊藤園長は「まだまだ元気。長生きしてほしい」と目を細めていた。

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