「トラック運転手の拘束時間は減ったが…」 物流2024年問題 中継輸送の実証報告 見えた「明確な課題」とは

トラック運転手の長時間労働抑制へ向け、中継輸送などの可能性を話し合った協議会=6日、鹿児島市のウェルビューかごしま

 トラック運転手の長時間労働抑制を目指す会合が6日、鹿児島市であった。4月から残業規制が強化される「2024年問題」を見据え、JA物流かごしま(同市)が中継輸送の実証実験を報告。運転手の拘束時間は短縮したものの、コストは大幅に増えたと説明し、産地や荷主の協力と理解を求めた。

 実証実験は、指宿市の農産物を鹿児島市の北ふ頭に集約し佐賀県鳥栖市の中継拠点へ輸送。別会社が関東へ運び、さらに別会社へ引き継ぎ納品した。運転手の拘束時間は、1人で全て担う時より5分の1程度に短縮できたが、1キロ当たりの輸送コストは約2倍となった。

 会合では、数量や中継地点、運送業者間の契約条件で数値は変わるものの、中継輸送やフェリー活用などの取り組みにコスト増加は避けられないと確認。一定程度の数量確保へ向けた産地側の協力や、コスト転嫁への荷主らの理解が欠かせないとした。

 会合は、鹿児島労働局や九州運輸局、運送業者などでつくる県地方協議会が開催。県トラック協会の鳥部敏雄会長は「人手不足なども重なり、24年問題対応は1業界だけでは無理。物流について社会全体で認識を深めるきっかけにしてほしい」と話した。

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