ソフトボールの橋本怜 全国無名から日本一のエースに 春から実業団、二刀流で活躍目指す 長崎

「二刀流で活躍したい」と意気込む橋本=島原市、島原工高グラウンド

 中学時代、全国的に無名だった投手が、高校で大きく飛躍した。橋本怜は昨夏のインターハイで島原工高を初の日本一に導くと、U18日本代表にも選出された。「島原工に入って良かった」。エースは渕上大輔監督やチームメートへ感謝しながら、充実の3年間を振り返った。
 雲仙市出身。瑞穂少年、島原JHSで白球を追った。瑞穂中卒業後は強豪校へ進む同級生もいた中、地元で「仲間たちと日本一」を目標に掲げて島原工高に進学。選手層も練習環境も決して十分ではなかったが、渕上監督の熱い指導の下、基礎から鍛え直した。徐々に全国で勝てる力を培い、2年夏からはマウンドを任された。仲間たちも一緒に成長していった。
 忘れることができない大会がある。大村市で開催された昨春の全国高校選抜大会。5試合に先発して、日本一まであと1勝まで迫った。迎えた決勝の相手はインターハイ3連覇中の大村工高。春夏14度の日本一を誇る“絶対王者”に真っ向勝負を挑んだが、連投の疲れは隠せなかった。4点を失って敗れた。
 この悔しさがばねになった。選手全員の目の色が変わり、夏に向けて練習の雰囲気も良くなっていった。自らも追い込み続けた。練習がオフの日も走り込んだ。夏の連投にも屈しない体力を培っていった。
 成果は数字にも表れた。入学当初の球速は100キロほどだったが、3年時には118キロまで上がった。渕上監督は「素直な性格と向上心が成長に歯止めをかけず、誰よりも成長した」とエースの伸びに目を細めた。

エースとしてチームをインターハイ初優勝に導いた橋本=北海道石狩市、はまなす国体記念石狩市スポーツ広場

 迎えた高校最後の県高総体。決勝で大村工高打線を2安打に抑え、5-0で快勝した。ライバルを倒して勢いに乗ったチームはその夏、全国の頂点に駆け上がった。
 昨年11月にはU18日本代表としてワールドカップ(W杯)に出場。3試合連続の適時打を放つなど、今度は野手として優勝に貢献した。「3年間きついことも多かったが、この仲間と一緒だったからこそ乗り越えられた」
 4月からは実業団のトヨタ自動車で競技を続ける。目標は投打の二刀流でタイトルを取ることだ。「活躍して島原を少しでも盛り上げたい」。新たな勝負の世界に飛び込む18歳は、次のステージでも成長を続ける。

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