「迷いはない!地方から悔しさをぶつける」高校卒業したプロキックボクサーが広島から世界チャンピオン目指す

格闘技界のスーパースター、那須川天心 選手にあこがれ、キックボクシングを始めた 芝宏二郎 選手。

プロデビューから3年、関西のチャンピオンにもなり、国内の軽量級を代表する選手に成長しました。

6日、廿日市西高校(広島・廿日市市)を卒業しました。

プロキックボクサー 芝宏二郎 選手
「地方の選手なんで、ハンデあったんで」

それでも、高校卒業後も東京の大手ジムの誘いを断り、広島に残ることを決めました。

芝宏二郎 選手
「仕事はもうプロ一本で、キックボクシング一本でやっていきます」

高校最後の試合に向け、調整を続けています。

宏二郎選手がプロになったのは高校1年生…。2年前の映像です。

芝宏二郎 選手(2022年3月)
「自分の魅力、そのスピードを見てもらって宏二郎という選手がいるんだと見せつける覚悟でやっています。よかったですか? 緊張した~」

こんなお茶目な宏二郎選手、学校でも…

芝宏二郎 選手(2022年3月 廿日市西高校)
「めっちゃ小さいんですけど、この試合に出させてもらいます」

同級生に自分の試合のパンフレットを見せる高校1年の宏二郎選手です。

クラスメイト
「宏二郎はおとなしくはない。試合の後、授業中に寝たり」「いつも明るくてクラスを盛り上げてくれます」

おととし、国内最大級の格闘技イベント「RISE」で、あこがれの 那須川天心 選手の弟、龍心選手との大一番に臨みましたが、判定負け。

再起戦は地元広島でメインイベント!

再起戦となった高校3年生の初試合は、地元広島でメインイベントの重責を担います。

ボディでダウンを奪うと、高校のクラスメートの前で1ラウンドKO勝ち!

芝宏二郎 選手(勝利者インタビュー)
「これから大阪とか東京で試合していくので、広島から応援してくれたらうれしいです」

去年は4戦全勝3KOで国内の軽量級を代表するトップ選手の1人に躍り出ました。

さらに上を目指すため新たに取り組んでいるのが、パンチテクニックの向上です。出稽古に訪れたのは崇徳高校ボクシング部。全国王者を何人も誕生させている国内屈指の強豪校です。

芝宏二郎 選手
「この前、那須川龍心に負けてからボクシング技術が足りないというのが課題だったので」

― ボクシングとキックボクシングは違う?
「全然、違います」

ボクシングはパンチだけで、キックボクシングのように蹴りがないため、相手との距離やディフェンスも違ってきます。履き慣れないリングシューズで練習に臨みます。

スパーリング相手は、ライトフライ級の 吉田太雅 選手。スピードが持ち味、去年の全国選抜3位のトップ選手です。

芝宏二郎 選手
「めちゃくちゃ速いし、めちゃくちゃ強いです。でも吉田太雅くんのパンチを受けてたら、試合相手のパンチなんか全然怖くないんで」

崇徳高校ボクシング部 吉田太雅 選手
「宏二郎選手はパンチ力もあるし、自分が大振りになったところ、そこを狙ってショートでカウンターパンチ入れたり、宏二郎選手がペース持っていくような感じなのでやりづらいです」

大手ジムの誘いを断り、広島に残る理由は?

崇徳高校での練習を終えた後、向かったのはプロ選手として所属するジムファイターズです。ジムには、宏二郎選手にあこがれ、プロを目指す子どもたちもいます。

芝宏二郎選手がアドバイス
「ガードを高くしてジャブ、前に前に行きながら手数を出していく」

渡邊夢斗 くん(小学6年生)
「宏二郎選手は優しいです、優しくてパンチをいっぱい教えてくれます」

楠本龍賢 くん(小学3年生)
「プロになってチャンピオンになって宏二郎君みたいに強くなりたいです」

芝宏二郎 選手
「自分にあこがれるみたいな感じなのでうれしい。見本になる選手にならないといけないと一層思っている」

保護者
「宏二郎選手はジムの子どもたちにとってあこがれの存在だと思います」

ジム会員
「こうして周りの人が応援に来たり、取材があったりというのは、みんなの励みというか目標になる、若い子たちが」

宏二郎選手はプロ転向後、寺西トレーナーと二人三脚で闘ってきました。寺西トレーナーの構えるミットにコンビネーションを次々と繰り出します。息もピッタリです。

寺西義幸 トレーナー
「宏二郎選手は、減量が末期までいってる、練習時間も1日6時間か7時間やっているので、疲れがたまっている中だったら調子いいかなと思います」

この週末、京都で高校生最後の試合を控えています。

地方ジムは、練習相手やマッチメイクなどでハンディを背負います。東京の大手ジムからの誘いもありましたが、広島に残ることに迷いはなかったそうです。

芝宏二郎 選手
「広島から関東に乗り込んで、関東で負けた悔しさをぶつける」

― 広島に残ることに迷いは?
「いや、迷ってはないです。寺西先生がいて、自分なんで。寺西先生がいなかったら今の自分ないんで」

練習相手が少ない地方ジムのハンデを克服するため、寺西トレーナーと全国に出稽古に出向きます。

芝宏二郎 選手
「次の試合のガウンができたので見てください。自分を応援してくださる方々がいて、広島から世界チャンピオンになるんで、興味がある方は自分のインスタグラムを調べてDMください」

応援してくれる人たちに恩返しするため、広島から世界チャンピオンを目指します。

寺西義幸 トレーナー
「宏二郎が広島に残ることはうれしいですけど、やっぱり責任もかかるので。地方からチャンピオンになるって決めたんで、自分もやっぱり地方から1番のトレーナーになれるようにお互いにがんばっていきたいなと思っています」

芝宏二郎 選手
「ヨシユキイズム、寺西先生の下の名前が義幸なんで、その弟子なんでヨシユキイズム継承者です。それをやっぱり試合で見せていけたらなと思っています」

寺西義幸 トレーナー
「こういうところをもっと真面目になったら、チャンピオンになれると思います(笑)」

― 宏二郎選手の目標は、RISEの世界チャンピオン。高校卒業に合わせ大手ジムから誘いもあったが、寺西トレーナーとがんばるため広島に残りました。宏二郎選手はキックボクシング一本でがんばりますが、実は寺西トレーナーも接骨院の仕事を辞め、今はトレーナー一本でがんばっています。2人で世界チャンピオンになってほしいです。

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