「打った瞬間にやられたと思ったが…」超美技で侍J初の完全リレーを救った青学大・西川史礁。井端監督が思わず唸った一流の打撃技術とは?

攻守で価値あるビッグプレーを魅せた。

3月7日、京セラドーム大阪で「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024」の強化試合、欧州代表と第2戦を戦った侍ジャパンは6人による継投で、チーム発足初の完全試合を達成。2-0の快勝を収めた。

先発を務めた金丸夢斗(関大)をはじめ、若い投手陣が素晴らしいポテンシャルを発揮して快挙を成し遂げたなか、前日に侍デビューを飾った若きスラッガーも負けじと眩い輝きを見せた。

第1戦で途中出場し、2安打1打点と活躍した青学大の西川史礁が、この日は「1番・中堅」でスタメン出場。第1打席でいきなり投手強襲の内野安打を放ち、前日から連続出塁。思い切りの良いスイングで、切り込み隊長としての役割を果たした。

さらにバットだけでなく、20歳の大学生は7回の守備でも球場を沸かせた。

先頭打者のセラッサが打ち返したボールが西川の守るセンターへ。ヒット性の鋭い打球を背番号3はダイビングキャッチしてアウト。誰もがパーフェクトが途切れたかと思ったピンチを救うスーパープレーが飛び出し、パーフェクトリレーを守備でアシスト。攻守でチームに大きく貢献した。
井端弘和監督は試合後の記者会見で、スタメン起用に応えた大学生の超美技を大絶賛。「打った瞬間にやられたと思いましたけど、もう反応してましたね。さすが元ショートというか、思い切りの良さと反応の良さだったと思います」と称賛の言葉を並べ立てた。

また打撃に関しても、指揮官が思わず唸った一流の動きがあった。

ファウル、見逃しで2ストライクと追い込まれた3球目の場面。井端監督は「追い込まれた瞬間に、(西川が)ノーステップに変えた」と鋭く指摘。「結構、強いスイングだった。ノーステップでも強いスイングができたという所では、すごく驚きました」と話し、若武者の類まれな打撃技術に感服した。「追い込まれても、強いスイングができているのは本当に素晴らしい」と学生離れしたスキルを称えながら、「このまま成長してほしいなと思います」と期待を込め、さらなる進化を願った。

井端監督からべた褒めされた男は「チームに勢いを持って来れるように準備していた。なんとしてでもセーフになろうと思って、ヘッドスライディングでセーフになれて役割を果たせた」と初回の安打を振り返り、リードオフマンとしての仕事に満足気な表情を浮かべていた。

一方で、7回の好守については「正直、あまり(完全リレーは)意識してなかった」と意外な答えを明かし、ビッグプレーが出せた要因として「自分の中では足が速いとは思っていないので、一歩目というのを普段から大事にしている。普段の練習で意識していることが、この大舞台で発揮できたと思います」と自己分析。普段の準備が好プレーにつながったと強調した。

初めて日の丸を背負った2試合で、潜在能力を遺憾なく発揮した西川。今秋のドラフト会議で1位指名確実と言われる大学生は、これ以上ない大きな爪痕を残した。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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