「陳情令」も……中国ドラマでタイトル変更が相次ぐ理由

香港メディアの香港01は6日、タイトルを変更された中国ドラマがここ3年間に142作品に上るとし、その背景について伝えた。

記事は、昨年夏に配信されヒットした中国ドラマ「偷偷藏不住」の姉妹編「難哄」のタイトルが「万事美麗」に変更されるとのうわさが広まり物議を醸したと説明。俳優バイ・ジンティン(白敬亭)と女優ジャン・ルオナン(章若楠)が主演し、このほどクランクインが報じられた同作の“改名”について、ネット上では「そんなダサい名前の方が受けるのか?」「知らない人は田舎のドラマと勘違いする」など批判的な声が上がったとした。

その上で、中国メディアが業界関係者の話を引用して伝えた内容として、「視聴者にとって第一印象となるタイトルは非常に重要だが、ドラマをめぐる環境の問題も重要。ポジティブで、敏感な文字がないことなど(が必要)」と説明。ここ3年でタイトルが変更された中国ドラマは142作品に上っているとした。

記事によると、プロデューサーの崔(ツァイ)氏は「時代劇のタイトルに『帝』や『妃』といった文字が使われるのはよろしくないと言われている。そのため、数年前に流行したそうしたタイトルは最近では非常に少なくなった。たとえば『白髪王妃』は『白髪』に、『帝王業』は『上陽賦』に、『扶揺皇後』は『扶揺』に変えられた。フィクションで歴史にそぐわない作品は、『甄嬛伝(邦題:宮廷の諍い女)』のような『伝』の字は使えないと聞いた」と明かした。

また、別のプロデューサーの謝(シエ)氏は「タイトルに怪しさや敏感さのある字は使ってはいけないというのが業界の共通認識になっているようだ」とし、「『魔道祖師』は『陳情令』に、『悲傷逆流成河』は『流淌的美好時光』に変更されたが、誰もなぜかとは聞かない。以前、『査崗』(浮気を防ぐために異性の仕事の状況を確認するという意味)というタイトルがあったが、夫婦間の“査崗”を助長するとして『夫妻密碼』(密碼=暗号)に変更された」と語った。

ほかにも、人気女優スン・リー(孫儷)が主演した「安家<I WILL FIND YOU A BETTER HOME>」は原題が「売房子的人(家を売る人)」だったが、政府の政策に合致しないということで変更されたという。

市場を見た上での判断もあるようだ。崔氏は「『夢醒長安』が突然『与君歌』に改名されたのは、原作のファンがドラマをあまり好ましく思っていないことに制作陣が気付いたためだ」とし、「原作とドラマを分けてそれぞれ独立させることで、ファンによる論争を減らすことができる」と説明した。

また、ブームに乗っかることを目的にタイトル変更が行われることもあるとも指摘。「甄嬛伝」がヒットした後に「~伝」というタイトルが相次いだことを紹介した。崔氏は「陳情令」や「山河令」の放送後に主演俳優のシャオ・ジャン(肖戦)やワン・イーボー(王一博)らがブレイクしたことから「~令」も人気だとする一方、「長歌行」「雪中悍刀行」「皓衣行」などはイマイチだったことから「~行」はあまり人気がないと語った。

このほか、何年も待機状態だった作品の場合、元のタイトルは時代遅れの印象を与えるため刷新することもあること、俳優や原作者にマイナスの報道があった場合にリスク回避のためにタイトルを変更することがあること、配信プラットフォームの意向で変更を求められることがあることも、併せて伝えている。(翻訳・編集/北田)

© 株式会社 Record China