「炭鉱操業時の暮らし、立ち入り禁止区域散策」軍艦島を最新技術で体感 デジタルミュージアムと長崎市資料館

3D化した軍艦島をゲームコントローラーで操作するなどし、さまざまなアングルから見ることができる「デジタルBOX」=長崎市軍艦島資料館

 1月に閉山から50年を迎えた長崎県長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)。その歴史や魅力を伝える軍艦島デジタルミュージアム(松が枝町)と市軍艦島資料館(野母町)がそれぞれ、炭鉱操業時の暮らしや一般の立ち入りが禁止されている区域内の様子を最新のデジタル技術で体感できるコンテンツを導入する。

 デジタルミュージアムは7日、「立体シアター」を公開。天井、床、壁計5面のLED(発光ダイオード)ディスプレーにCGで再現された映像が流れ、その場にいるような体験ができる。キャラクターの案内で現在から操業時の1957年にタイムトリップする物語仕立て。歩くと床に足跡が現れたり、出題されたクイズに壁を触って答えたりとゲーム感覚で楽しむことができる。
 同日のセレモニーには、鈴木史朗市長ら約80人が出席。実際に体験した鈴木市長は「臨場感があり軍艦島が生き返ったよう」と感想を述べた。久遠裕子プロデューサーは「当時の生活がリアルに感じられるようなコンテンツ。ゲーム感覚で楽しみながら歴史や文化に理解を深めてもらえたら」とPRした。同シアターでは軍艦島でロケがあった2015年公開の映画実写版「進撃の巨人」の特別映像(3分)も上映する。
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 市資料館では9日から「デジタルBOX軍艦島~イマーシブ3Dモデル」と「360度バーチャルツアー」を披露する。昨年11月に高画質4Kのカメラで撮影した写真を使用した。
 「デジタルBOX」はドローンも使い島全体を撮影した2万枚超の写真と、レーザースキャナーの計測データを組み合わせ3D化。最新の空間再現ディスプレーを使い、専用メガネなしで楽しめる。人の顔(両目)の動きをカメラが感知してアングルが変わり、ゲームコントローラーでも操作することができる。
 「バーチャルツアー」は「X」状の階段がある67号棟付近など、一般の立ち入りができない区域内を360度カメラで撮影。デジタルサイネージに映像が映し出され、画面を触ると自分の見たい場所に進め、立ち入り禁止区域内の散策を疑似体験できる。
 運営する長崎のもざき恐竜パークの安達考紀所長は「最先端技術の体験を楽しみながら、軍艦島の構造的、歴史的価値を体感してもらえたら」と語る。
 いずれも体験無料だが入館料が必要。

炭鉱操業時にタイムトリップした感覚が味わえる「立体シアター」。壁を触ってクイズに答えるなどゲーム感覚で楽しむことができる=長崎市、軍艦島デジタルミュージアム
立ち入り禁止区域内の散策を疑似体験できる「バーチャルツアー」=長崎市軍艦島資料館

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