国際女性デー2024 長崎県初女性副知事・馬場裕子さん 「ネットワークづくりが課題」【インタビュー】

「女性が伸び伸び活躍できない社会に未来があるのか」と話す馬場副知事=県庁

 8日公表された2024年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で、本県は行政分野で昨年の45位から33位となった。大きな要因となったのが女性副知事の誕生。昨年7月に就任してから8カ月、本県の状況を見てきた馬場裕子副知事(45)に女性活躍に向けた課題などを聞いた。

 -今回の結果への感想は。
 経済分野など数字が下がってしまったところが気になる。私の部分で数字を押し上げた分野はあるが、行政の取り組みはまだまだ一歩ずつといったところ。防災会議委員への女性登用など、他県の例も伺いながら進める必要がある。
 先日聞いて「おう」と思ったのは、県の男性職員の育休取得率。今回の指標で13%から26%に上がっただけでなく、取得日数が平均48日(2022年度、知事部局)だった。2週間程度だとあまり意味がない。男性の育休取得率の目標を従来の30%(知事部局)から100%に引き上げたところであり、取得するのが当たり前という雰囲気になっていけばいい。
 -女性副知事は9県しかいない。女性活躍を進める上でロールモデルの必要性もいわれている。
 若い方に聞くと、「大変そう」と女性の側にも管理職になることへの心理的抵抗がまだあるようだ。私も国家公務員として働き始めた頃は、女性の先輩がスーパーウーマンのようにまぶしく見えた。だが、仕事をしていく中でそれぞれの実態も見えてきて、仕事は1人でするものではないことも分かってきた。ポジションが上がることで政策の意思決定に関わる面白さを知れたり、いろんな人と関われる機会が増えていったりもする。私は一つのきっかけに過ぎない。女性職員の心理的抵抗をなくすような役割ができればいい。
 -地域に女性のネットワークが必要ともいわれる。
 産業労働や土木などの分野を所管しているため、お会いする庁外の方は私より年齢が上の男性が多いが、女性活躍への意識は変わってきていると思う。産学官でつくるながさき女性活躍推進会議という組織もあり、女性対象にミドルマネジメント講座を開いたりしている。そこでの取り組みや人の輪を広げていくことを考えていかなければいけない。
 -普段からの意識改革の必要性を説いている。
 行政でも「男性の家事・育児『参画』」という言い方をするが、違和感がある。どちらも自分事であるはず。なぜ「分担」ではないのか。「参画」の言葉に(性別役割分担意識が潜んでいることが)象徴されている気がする。
 -今後の抱負を。
 人口の半分以上を女性が占める中、女性が伸び伸び活躍できない社会に未来があるのかと思う。育児や介護などライフステージの変化は男女問わず乗り越えていかなければいけない。企業の方々ともつながる場が欲しいという声も頂いているので、ネットワークづくりがどういった形でできるのか検討していきたい。

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