オランダ有識者が「無礼だ」と激怒!レッドブル顧問も言及したRB順位入れ替え問題…角田裕毅とリカルドはともに解決済みと強調

今週末に開催されるF1第2戦サウジアラビア・グランプリでのポイント獲得を目指すビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅。先週のバーレーンGPでは14位に終わったものの、「車の限界や改善点について多くのことを学べた、有意義な週末でした」と、ポジティブに開幕戦を振り返っている。

しかしこのレースの終盤、ケビン・マグヌッセン(ハース)を抜きあぐねていたところで、背後にダニエル・リカルドが迫った際、順位を入れ替えるというチームオーダーが発令されたことに対し、無線で「冗談を言っているのか?」と不満を露わにしてすぐにはこれに従わず、チームメイトを先行させた後も皮肉を口にした角田。さらに、レース後のインラップでリカルドに「ダイブボム」を仕掛けて彼を怒らせたことで、大きな物議を醸すなど、後味の悪さを残すこととなった。

この一件についての各国メディアの反応を見ると、日本人ドライバーが感じた悔しさを理解し、チームの戦略に対して疑問を呈するところが多かったものの、一方で「冷静さを欠いた行為」に対しては苦言を呈する声も少なくなかった。そんな中、オランダのF1専門サイト『RN365』のポッドキャストでは、かつて日本でも活躍したオランダ人ドライバーのコメンテーター、トム・コロネルが激しい「怒り」を示している。

もっとも、その矛先は角田ではなく、結局マグヌッセンを抜けずに終わったものの、そのままポジションを戻さなかったリカルドに向けられた。「それを見た時、私は激怒した。リカルドがやったことはただの無礼だった」と語る1999年フォーミュラニッポン王者は、「チームがどのような指示を下そうとも、彼はチームメイトに対してリスペクトを示すべきだった。マグヌッセンを抜くためにポジションを譲られたのだから、それができなかった以上、それを角田に返すべきなのに、彼はそうしなかった」と指摘した。

対して、ポッドキャストで共演したジャーナリストのルート・ディマーズ氏は、「リカルドはソフトタイヤを履き、ハードの角田よりペースが速かった。しかし、角田がチームオーダーを実行するのに2ラップかかったことで、リカルドのタイヤは追い抜きのために最適なものではなくなっていた」との見解を示している。
一方で、リカルドはレース前にチーム内のブリーフィングで順位の入れ替えがあり得ることを互いに承知していたと明かしており、それにもかかわらず角田が感情を爆発させたことには不適切だったとして「チームが求めたことについては、それを(迅速に)受け入れて実行するべきだった」と指摘したが、コロネルは「それは重要なことではない」と、これに同意しなかった。
このように、多くの論争を生んでしまったこのトラブルだが、RB、そしてレッドブル・グループとしては、これでドライバー間やチーム内に禍根を残すことは得策ではなく、レース後にはブリーフィングが行なわれ、またレッドブルのヘルムート・マルコ顧問も解決に動いている。

オーストリアのテレビチャンネル『OE24』に対し、マルコ顧問は「これは避けられるものだったはずだ」と語り、「レース後、ユウキと直接、話をした。正しい戦略があれば、彼は10位(入賞圏)でフィニッシュできただろう」と、この日本人ドライバーに対して理解を示したことも明かした。

リカルドは「長いシーズンで互いに協力していく必要がある」、角田も「チームで話し合い、今は一致団結している」と語り、すでにこの一件が過去のものであると強調。チームも含めて、これを今後の糧として総合力を高めていけるか、サウジGPも含めた今後のレースにおける彼らのパフォーマンスに注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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