【じゃがいも】のビタミンCを流出させない調理法とは?

野菜を食べるためには、洗ったり皮をむいたり切ったり、ものによってはアク抜きが必要になります。これらの下ごしらえを一歩間違うと、その次点で栄養が大流出することに! ここでは、じゃがいもの下ごしらえのコツを見ていきましょう。

★にらの切り方は★

皮にはがん予防に効くクロロゲン酸が豊富

じゃがいものビタミンCは、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
というのも、熱を加えるとじゃがいものデンプンが糊化して、ビタミンCを包み込んでくれるから。

ビタミンCには粘膜を強化する働きがあるため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の改善を助けます。

しかし、いくら熱に強くても、皮をむいてこまかく切って加熱すれば失われることに。損失を最小限に抑えるには、皮ごと調理するのがコツ。

ちなみに、じゃがいもの皮にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれていて、がん予防やアンチエイジングが期待できます。

皮の栄養をムダにしないためにも、ビタミンCを守るためにも、じゃがいもは皮ごと調理しましょう。

じゃがいもは皮つきのまま調理して豊富なビタミンCを守る

【DATA】
旬:春〜秋
保存期間:1ヵ月
主な栄養素:中1個(正味90g)ビタミンC 32mg、カリウム 369mg、ビタミンB1 0.08mg(生)

【注目成分】
・ビタミンC
いも類ではトップの含有量。炎症を抑えて粘膜を丈夫にし胃腸を整える。下痢や消化不良の防止にも。

・カリウム
体内の余分なナトリウムを排出。高血圧を防ぎ、腎臓病や膀胱炎、疲労回復にも効果がある。

【選び方】
皮にハリがあり、ふっくらとして重みがあるもの。芽が出ていたり、皮が緑色のものは避ける。

【保存方法】
新聞紙に包み冷暗所へ。夏場は新聞紙に包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。

POINT
じゃがいもの芽にはソラニンという有毒物質が含まれています。りんごといっしょに保存すると、芽が出にくくなるのでおすすめ。

ソラニンは緑の皮にも含まれる

じゃがいもの芽が体に悪いのはよく知られていますが、芽と同じソラニンという成分は緑色になった皮にも含まれています。

皮が緑色のものは買わないのがベター。もし買ってしまった場合は、皮の栄養はあきらめて厚めに皮をむきましょう。

長期間冷蔵したじゃがいものフライはNG

じゃがいもを長期間、冷蔵保存するとデンプンが分解されて糖が増加します。この状態のじゃがいもを120℃以上で加熱すると糖がアクリルアミドという発がん性物質に変化。

たまに食べるぶんには心配ありませんが、毎日のようにフライドポテトやポテトチップスを食べるのは避けたいところ。調理の際は常温保存のじゃがいもを使いましょう。

※この記事は『調理 保存 食べ方で 栄養を捨てない食材のトリセツ』落合敏監修(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


監修者
栄養学博士・管理栄養士 落合 敏

おちあい•とし●千葉県立衛生短期大学教授、茨城キリスト教大学食物健康科学科教授、天使大学大学院非常勤講師などを務める。食べ物の栄養効果についてのわかりやすい解説が人気。『食べるクスリ 甘酒ヨーグルト』(主婦の友社)ほか著書、監修書、多数。

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