怖い…「お世話になった監督を否定するのか」と批判された“監督が怒ってはいけない大会”埼玉で初開催 種目はバレーとバスケ、元選手が企画 社会に最近認められ批判減る 「声が大きくて怒っているのか分からない」と話す児童も

子どもたちに大会の趣旨を説明する益子直美さん(左)と、怒っていると見なされバツ印の入ったマスクを着ける監督=3日、さいたま市岩槻区の岩槻文化公園体育館

 「第1回HAKKAKU CUP監督が怒ってはいけない大会in SAITAMA」が、埼玉県さいたま市岩槻区の岩槻文化公園体育館で開催された。同大会は元バレーボール選手の益子直美さん(57)が始めた大会で、埼玉県では初開催。益子さんは「監督は目先の勝利だけではなく、先の人生が豊かになるような指導をしてほしい」と訴えた。

 岩槻区を中心に活動する総合型地域スポーツクラブNPO法人ふぁいぶるクラブ白鶴(はっかく)が主催。この日はバレーボールとバスケットボールの大会が行われ、市内外のクラブから約80人の小学生が参加した。

 大会名の通り、「監督が怒ってはいけない」。怒っていると見なされた監督にはバツ印のマスクを着けさせる。この日も大きな声で指示を出していた一人の監督がマスクを着けさせられ、反省した様子だった。チームの児童たちは監督を「面白いけど怒ると怖い」「声が大きくて怒っているのか分からない」と話す一方、「いつもより優しかった」「負けても次、頑張ろうと励まされた」と話していた。

 スポーツマンシップセミナーも行われ、益子さんが講師としてスポーツ選手としての基本精神を教えた。ほかにもクラブ対抗リレーや、監督によるフリースロー大会などで、チームの仲を深めた。

 同大会は全国で開かれている。大会運営の代表理事を務める益子さんは、中学時代からバレーボールを始め、高校時代は名門共栄学園のエースとしてプレー。実業団を経て、引退後はコーチやスポーツキャスターなどとして活動しており、日本スポーツ協会の副会長やスポーツ少年団の本部長も務める。

 今までに暴言や体罰など厳しい指導を受けてきた。「子どもが怒られているのを見たくない」という思いから2015年に監督が怒ってはいけない大会が始まった。開催当初は「お世話になった監督を否定するのか」などと批判の声が多かった。最近では社会に認められ、そのような声は減ったという。

 益子さんは「バレーに限らず、怒られなくても子どもが成長できる方法をみんなで考えていきたい」と語った。

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