青森県内のクマ出没、最多1000件超 2023年、人身被害は10件

 青森県議会は7日、一般質問を行った。県側は、2023年のツキノワグマの県内出没件数が1133件となり、記録が残る1992年以降で最多となったことを明らかにした。クマによる人身被害も、県が統計を始めた2006年以降最多の10件11人だった。県は生息域に自動撮影カメラを設置し、県内個体数を推定した上で、被害対策を検討する有識者会議を設置する方針。

 工藤兼光議員(自民)の質問に、館栄環境生活部長が答えた。

 圏域別の出没件数は中南が最多の313件。西北が263件で続き、2圏域で全体の約半数を占めた。このほかは下北200件、三八153件、上北147件、東青57件。人身被害は弘前市と鯵ケ沢町で各2件、青森市、黒石市、むつ市、平川市、深浦町、田子町で1件ずつ発生した。被害は山菜採り中が7件、農作業中が3件だった。

 県は県議会に提案している23年度補正予算案に、自動撮影カメラの設置などツキノワグマ対策費として1913万円を計上。専門業者のアドバイスを受けながら個体数を推定し、25年の年明けにもクマの生態に詳しい専門家らでつくる有識者会議を開く。

 館部長は答弁で「県内で個体数増加や生息域拡大が見込まれ、さらなる人身被害を懸念している。人とクマをすみ分ける環境の整備などについて、有識者会議で科学的、計画的な対策を検討する」と述べた。

 一般質問はこのほか、今博(新政未来)、大平陽子(オール青森)、森内之保留(自民)の3議員が登壇した。

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