五所川原立佞武多の漫画、幻に 鳥山明さん死去 2004年、下絵手がける

2004年に「ドラゴンボール立佞武多」を制作した小山内さん。鳥山さんが描き下ろした見送り絵は五所川原市の三輪小学校に飾られている

 世代も国境も超えて愛される作品を生み出してきた漫画家、鳥山明さんが死去していたことが8日明らかになった。鳥山さんは2004年、漫画「ドラゴンボール」を題材にした五所川原立佞武多(たちねぷた)の下絵を手がけ、実際に祭りにも訪れていた。当時、下絵を基に中型立佞武多を制作したねぷた運行団体「さかえ立佞武多」の小山内圭宵(けいしょう、本名・圭輔)さん(42)は「先生は『小山内君を主人公にした(立佞武多の)漫画を描きたい』と言ってくれたけど、忘れて逝ってしまったのかな。先生の作品が大好きだった」と寂しげに語り、その死を悼んだ。

 「ドラゴンボール立佞武多」は五所川原市出身の集英社スタッフが企画。祭りを見た鳥山さんは大変喜び、ドラゴンボールに登場するキャラクターである孫悟空(そんごくう)、クリリン、亀仙人を描いた縦2.2メートル、横1.5メートルの見送り絵を「さかえ立佞武多」に贈った。

 見送り絵は2枚贈られ、同団体は1枚を同年12月に千葉市で行われた「ジャンプフェスタ」で運行したドラゴンボール立佞武多に使用。もう1枚を制作や練習で場所を借りている五所川原市の三輪小学校に寄贈した。以来、同小体育館2階のギャラリースペースに飾られている。

 小山内さんは「三輪小の子には先生の作品を読んでほしい。それが供養にもなるのではないか」とし、「先生はまだ若くて、これからだと思っていたのに。立佞武多の漫画もまだ描いてもらってないですよ」と鳥山さんに話しかけるように語った。

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