「力合わせ子育て日本一に」 青森県の給食無償化交付金 知事が市町村長へ制度説明

給食費無償化等交付金制度をオンラインで市町村長に説明する宮下知事=8日、県庁

 宮下宗一郎知事は8日、小中学校給食費の全県無償化や子育て支援策のため青森県内40市町村へ配分する新たな交付金制度について、県庁からオンラインで市町村長らに説明した。宮下知事は「力を合わせて、子育て日本一の青森県を目指したい」と制度の狙いを強調し、理解を求めた。市町村長からは、給食費完全無償化を独自に実施済みの場合の不公平感をあらためて訴える声や、各種子育て施策への活用を前向きに捉える意見が上がった。

 制度を巡っては、既に無償化済みの市町村の首長や議会から、不公平感や仕組みの複雑さを指摘する声が上がっていたことから、宮下知事が再度市町村長へ説明する機会として、オンライン会議を開いた。

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 阿部義治今別町長は、自前で財源を捻出して給食費の無償化を実施している上に「考えられる無償化事業はほとんど実施している。このままでは(新規事業へと充てる)交付金がゼロになる。不公平感を非常に感じる」と述べ、助言を求めた。宮下知事は「高校生、大学生へのアウトリーチ(支援)も考えられる。新たにできる県の『こども家庭部』ともよく相談してほしい」と応じた。

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 工藤祐直南部町長は無償化の実施・未実施による補助率の違いに触れ「一律に出すのが大事ではないか。(無償化済みの)私たちも給食費として支援いただき、その分を新たな子育てに回したい」と意見。宮下知事は、全県で新規事業を促すという交付金の狙いを念頭に「給食費として渡した分をほかの子育てに使ってほしいと言っても、単なるお願いベースにしかならない」と答え、無償化済みの場合は給食費に充当できない方針を繰り返した。

 小又勉七戸町長は「給食費を無償化しながらさらなる子育て対策の支出には二の足を踏んでいたが、県からの交付金があれば心置きなくできる」と期待を述べた。平田博幸藤崎町長は「英断にお礼申し上げる。全国知事会などを通じてこの輪を全国に広げるよう、知事も再度努力してほしい」と語った。

 宮下知事は「子育て政策を圧倒的に青森県で推進していくことに、制度の大義がある。全国初となるような事業の構築に、交付金を使ってチャレンジしてほしい」と呼びかけ。制度の根幹は維持しつつ、運用面での改善点があれば対応していく考えも示した。

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