ウクライナ支援を続ける長野県飯田市の空手団体の代表が先日、ロシアを訪れました。
亡くなった門下生の追悼大会に参加するためです。ウクライナの門下生はこれに反発しましたが、代表は平和を願い、敢えてロシアへ渡りました。
ロシア極東・ハバロフスクの空港。
迎えの人たちと抱き合ったのは「空手道禅道会」(本部・長野県飯田市)の小沢隆・首席師範です。
ロシア支部の大会に招待され、3日間、滞在しました。
大会での挨拶・小沢隆 首席師範:
「空手道が国家、主義、信条を超えて大きな人の輪をつくっていけたらと思います」
ウクライナを支援しつつ、ロシアへ。平和を願っての訪問です。
小沢隆 首席師範:
「一刻も早くロシアとウクライナの戦争が終戦でなくてもいいので、停戦に何とかこぎつけられないのかと毎日思います」
小沢さんはこれまでロシアの軍事侵攻を受けるウクライナの人々を支援してきました。
門下生とその家族9人を高森町に避難させ、戦場で負傷し除隊したウクライナ支部長のイゴール・ユカリチュクさんも受け入れました。
2023年秋には、ウクライナを訪れ避難家族らと再会。
訪問時も空襲警報が鳴っていました。
攻撃を受け廃虚になった建物も訪問。
イゴールさんらの案内でウクライナの厳しい現実を目にしてきました。
そうした中でのロシア訪問。
2023年、病気で亡くなった門下生の追悼大会に招かれたのです。
小沢隆 首席師範:
「ビタリー支部長は亡くなる前にすごく私に会いたがってた。先生もぜひロシアに来てくださいということで断ることは考えられなかったので」
これを知ったウクライナのイゴールさんは…
小沢隆 首席師範:
「『私は先生の気持ちはよくわかるけど、全員のウクライナ人がその気持ちがわかるわけではないので、自重してもらいたい』と言っていました。ロシアに限らずに武道を愛するものから呼ばれれば世界中どこへでも行かないといけないのが私の立場なのでと伝えています」
イゴールさんたちの気持ちを承知の上でロシアへ。追悼大会に参加し門下生とも交流しました。
そして…
小沢隆 首席師範:
「今回の戦争で亡くなられた方のお墓に来ています」
訪れたのは、墓地。軍事侵攻で亡くなった兵士の墓は極東の地にもありました。
小沢隆 首席師範:
「ロシアも青年たちがどんどん亡くなっていて、ハバロフスクのような極東でも戦死者が運ばれ葬儀をしていて、戦争はどちらにとっても悲劇だな」
軍事侵攻が始まって2年。
小沢さんは空手が両国の架け橋になることをを願って、これからも活動します。
空手道禅道会・小沢隆 首席師範:
「戦渦になっているウクライナとロシアのギャップがそう簡単には埋めれるものではない。でも埋める努力をしていかないと、民間交流でも埋める努力をしていかないと、
永遠に憎しみの連鎖が生まれてしまう。そうは簡単ではないけど努力は続けていかなきゃいけないと思う」