「能登に帰宅」半数 仮設入居待ち「みなし」に4分の1

2次避難者に今後の住まいの情報を伝えた説明会=2月12日、石川県立音楽堂交流ホール

  ●2次避難所退所の900人

  ●県調査、仮設3%、親族宅10%

 能登半島地震で地元を離れてホテルなどに2次避難し、その後退所した人のうち、約半数が自宅に戻ったことが石川県の調査で分かった。水道の復旧が進められる中、生活環境は万全ではないものの、地元に戻った人が多いとみられる。25%は金沢などのみなし仮設住宅へ移った一方、被災市町の仮設住宅に入った人は3%にとどまり、能登に帰れず金沢や南加賀で待機する人も少なくない現状が浮き彫りとなった。

 県は2月1日以降に2次避難所を出た人のうち、約1900人に行き先を聞き、3月4日までに約900人が回答。詳細な人数は明らかにしていないが、半分が自宅に戻ると答えた。損壊して生活環境が不十分な自宅に戻る人も少なくないとみられる。

 県危機管理監室の担当者は2月に南加賀で実施した2次避難者向けの説明会を振り返り、「家の損傷が軽度だった人からは『水さえ出るようになれば戻りたい』との声が聞かれた」と指摘する。なじみのない地域のホテルで暮らす孤独感もあり、被災地がいまだ不便なのは承知の上で、顔見知りがいる地元に戻りたい人もいるという。

 みなし仮設住宅に入った人は4分の1に上った。自宅が損壊するなどして住むことができなくなり、当面の住まいとして金沢などのアパートに移った人は多い。県が奥能登などで整備する仮設住宅は、4日までに完成したのが372戸にとどまる。希望者全員に仮設住宅が行き渡るのは夏ごろになるとみられ、みなし仮設での待機を選択する人が増えている。

 親族宅へ移った人が10%、1次避難所へ戻った人は3%、1.5次避難所に入った人は2%だった。医療機関へ入院したり、福祉施設へ入所したりする人もいた。

  ●200人別の2次避難へ

 回答を得た900人とは別に、約200人が2次避難所から別の2次避難所に移った。担当者は「宿泊施設が個別に決めた避難の期限が来て、やむなく移った人が多かった」と話した。

 県によると、2次避難者は2月16日の5275人をピークに減少し、3月8日は4327人。累計では8549人が避難した。

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