アマゾンのフリーランス配達員らスト決行 全国初、長崎で 「生活成り立たない」

窮状を訴えるアマゾンのフリーランス配達員=長崎市桜町、県勤労福祉会館

 長崎県を拠点に通販大手アマゾンジャパンの商品を運ぶフリーランス(個人事業主)の配達員ら約20人が8日、失業の恐れがあるのに1次下請け運送会社に団体交渉を拒否されたとして、ストライキを決行した。所属する労働組合「東京ユニオン」によると、アマゾンの荷物を扱う配達員によるストは全国で初めて。
 配達員は2次下請け「トランプ」(埼玉県川口市)と個別に契約。1次下請け「若葉ネットワーク」(横浜市)がトランプとの業務委託を4月8日に打ち切ると通告したため、同労組は「一方的で不当」として団体交渉に応じるよう訴えてきた。トランプは長野県塩尻市、福岡市、大分市にも配達拠点があり、委託打ち切りに伴い約200人(うち本県約70人)が仕事を失う可能性がある。
 この日、スト参加者は長崎市内で集会を開いた。60代男性は「荷物量が倍に増えても、ガソリン代が約1.5倍に高騰し手取りが減っても、お客さんのために一生懸命働いてきた。何の説明もなく一方的に切られるのは納得できない」と憤った。40代男性は「契約を解除されたら、次の仕事を探さないと生活が成り立たない」として、業務を継続できるかどうか早く回答するよう若葉に対し訴えた。同労組は「配達員の労働環境は非常に悪い。ストをきっかけに消費者にも目を向けてほしい」と呼びかけた。
 ストは当初、無期限の予定だったが、8日のみで終結。一部の配達員が「日当が出ないと生活に困る」といった事情で当日も業務を続けたため、集荷所の封鎖も見送られた。アマゾンジャパンは同日午後5時時点で「配送に遅延はなく、お客さまには予定通りお届けできている」としている。
 同労組は同日、アマゾンジャパンに対しても、発注元として配達員の就業機会を確保するよう文書で要請した。
 これまで同労組による団交申し入れに対し、若葉側は、配達員と直接契約を結んでおらず、応じる立場にないとの理由で拒否してきた。取材に「本件の詳細に関するコメントは差し控える」とした。

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