元K―1王者・武居由樹、世界王者になるには「サプライズ」必要...識者が予想する展開【5・6東京ドーム】

元K―1王者でボクシングWBO世界バンタム級10位の武居由樹(大橋、27)が2024年5月6日に東京ドームでWBO同級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア、33)に挑戦する。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)対元世界2階級制覇ルイス・ネリ(メキシコ、29)の前座に出場する。

ボクシングキャリア9戦目にして初の世界挑戦。元K―1王者はボクシングでも世界の頂点に立てるのか。J-CASTニュースは多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に分析してもらった。

不安材料はキャリアの少なさ、「負ける場合はあれよあれよという感じに」

武居は身長173センチのサウスポーでパンチ力は左右ともに世界級だ。21年3月のプロデビュー後、3戦連続1回KO(TKO)勝ち。22年8月には東洋太平洋スーパーバンタム級王座に挑み5回TKO勝利で王座獲得した。同王座の初防衛に成功すると、1階級下のバンタム級での世界戦をにらみ王座を返上した。ここまで8戦全勝(8KO)と完ぺきなレコードを誇る。

金平会長は初の世界戦に臨む武居のボクシングキャリアを「不安材料」とした。武居は強打者ゆえに早い回での決着が多く、これまでの試合の最長が11ラウンドだ。その次に長いのが5ラウンド。世界戦は12ラウンドあり、判定までもつれた場合、武居にとって最終回は未知のものとなる。

金平会長は「問題となるのは武居選手のキャリアが少ないことです」と指摘し、「武居選手が勝つならば圧勝だと思いますが、負ける場合はあれよあれよという感じになるでしょう。勢いに乗っている選手はそういう傾向にある」と分析した。

そして「まだ世界は難しいかなと思います。ラウンド数を含めてもう少しキャリアがほしい。モロニー選手と比較すると対戦相手の質と量が違うと言わざるを得ないです。試合は6対4くらいでモロニー選手有利だと思います」との見解を示した。

「武居選手のパンチ的中率は高く、当て感が非常に良い」

モロニーは23年1月に来日し、金平会長が指導する亀田和毅(TMK、32)のスパーリングパートナーを務めた。スパーリングを見守った金平会長は「モロニー選手はスピードがある非常に良い選手。スタイリッシュなボクシングをする」と高く評価した。

豊富なアマチュアキャリアを誇るモロニーはプロで27勝 (19KO) 2敗。この2敗はいずれも世界王者に対するもので、18年10月にIBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、20年10月にWBA・IBF同級王者・井上尚弥に敗れた。

金平会長は「モロニー選手はスピードを生かした自分のボクシングをすると思います。恐らく武居選手が想定しているボクシングでしょう。足を使ってジャブを突いて徹底的にポイントを取るボクシング。これに対して武居選手がサプライズ感を出せるか。モロニー選手の予想の上をいく何か。1番は武居選手が持っているパンチ力。あとは威圧感です。武居選手のパンチ的中率は高く、当て感が非常に良い。大橋会長はそこに掛けてマッチメイクをしたと思います」と語った。

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