街裏ぴんくR-1優勝で決意の叫び「R-1には夢がある!」 ウエストランドM-1制覇ネタで発憤、事前に決めていた

〝ピン芸日本一〟を決める「R-1グランプリ2024」が9日、東京・フジテレビで開催され、街裏ぴんく(39)が優勝。過去最多出場5457人の頂点に立ち、22代目王者の称号と優勝賞金500万円を獲得した。

感極まった。街裏ぴんくは「R-1に夢はあるんですよ!」と叫び、歓喜の涙を流した。ファイナルラウンド。野田クリスタルと小籔千豊の2票を獲得し、吉住は陣内智則とバカリズムの2票。最後に敬愛するハリウッドザコシショウが自身に投票し、ルシファー吉岡との3人で繰り広げた激闘に終止符を打った。

ファーストラウンドでは石川啄木を、ファイナルラウンドではモーニング娘。をモチーフとして、持ち味の架空のエピソードを熱く語りまくった。独自の架空、ファンタジー全開の漫談を披露した。

「20年辞めずにやってきて良かった。20年売れずに引け目も感じていたが、本当にお笑いが、漫談が好き。ずっとこだわってきた。3年漫才をやって、17年漫談。ザコシショウ師匠が『続けるのもセンス』と言っていたので、センスがあったのかもしれない」と、感慨深げに話した。

大阪出身。漫才コンビは3年で解散。吉本新喜劇入りを目指したがオーディションに落ち、故・島木譲二さんに弟子入りを直談判したが断られ、漫談の道に進んだ。この日は新喜劇の座長を務めた小籔千豊の票を得ただけに感激もひとしおだ。「今まで刺激もらい、背中を追っていた先輩に会いたい。小籔さんのようにお会いしていなかった先輩に僕の漫談を聞いてほしい」。1度だけ番組に呼ばれたダウンタウン、かつて世話になり「ベタもやりや」と助言を受けた笑福亭鶴瓶にも「自分の持ち味を貫きながらもベタ、広く笑ってもらうことは意識している。もう一回会いたいですね」と成長した姿を見せたい気持ちを隠さなかった。

2012年に上京。大阪時代は怒りを爆発させるぼやき漫談だったが、東京では全くウケなかった。途方に暮れた。浅草リトルシアターを中心にもがいた。やがて、架空とファンタジーが折り重なるスタイルが完成した。「自分では唯一無二だと思ってます。本当のことしか喋ったらアカンとされてたんすよ、僕が始めた時の漫談は。それを架空でやったのは、僕が作り出したもの」と自負を持つ。

ピン芸人の意地もあった。22年のM-1グランプリでウエストランド井口が毒舌で頂点に立ち、「M-1にあってR-1にないもの、夢!」のフレーズが大ウケし、優勝の代名詞といえるフレーズになった。

街裏ぴんくは「過去のR-1優勝者で仲良くさせてもらってる人がいるんですけど、みんなノリでR-1は夢ないな、と言いつつも、腹を立てる人がいた。僕も救いがない、ちょっと違うんじゃないかと思っていた。優勝したら絶対に『R-1には夢がある』と言おうと思っていた」と気概を示した。

賞金500万円は借金の返済とともに、妻に対する感謝の思いが浮かんだ。「嫁さんと結婚して10年以上。ハネムーンにも行っていない。2泊3日で旅行に行きたいですね」と優しい目で話した。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

© 株式会社神戸新聞社