「女性は家庭」憲法維持 アイルランド国民投票

集会で仮装をして、憲法条項の是非を問う国民投票の否決を訴える人たち=9日、アイルランド西部(ロイター=共同)

 【ロンドン共同】アイルランドで9日、女性の「家庭での義務」を重視した憲法条項の修正を問う国民投票の開票結果が発表され、賛成26.1%、反対73.9%で否決された。時代遅れで女性蔑視だと批判された条項が憲法に残ることになる。修正を呼びかけたバラッカー首相は結果を「全面的に尊重する」と述べた。

 1937年のアイルランド独立時に制定された憲法は「女性の家庭内での生活が国家を支え、公共利益の実現に欠かせない」「国は家庭での義務を果たすべき母親が経済的必要性によって就労を迫られることのないよう努める」と定めている。

 政府提示の修正案は「家族構成員が助け合い、国がその支援に努める」となっていた。このため、家族に障害者がいる有権者を中心に、介護に国の積極関与の姿勢がなく障害者差別だとの批判が上がっており、否決につながったとみられる。

 婚姻関係を前提とした家族の再定義も問われたが、賛成32.3%、反対67.7%で、この修正も否決された。

アイルランドのバラッカー首相(ロイター=共同)

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