都道府県で保険料が違う? 知っておきたい地震保険

2011年3月11日の東日本大震災から13年が経ちました。923年に発生した関東大震災から101年経ちます。2024年1月1日の能登半島大震災については、2ヵ月経ったいまでも(執筆時点)、断水も完全に復旧はしていませんし、何よりも仮設住宅もすべて行き渡っていません。

どちらかというと能登半島に地震が起こる確率は、それほど高くないとされていました。それは、都道府県別の地震保険の保険料でもみてとれます。政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。 もしものときの備え「地震保険」を。」をみると、東京や南海トラフ地震が心配される太平洋側よりも、日本海側の石川県などの方が保険料は安いことがわかります。

しかし、日本に住んでいる限り地震の心配がない地域はありません。大きな地震が起こるとその被害額はとても大きなものになるので、地震保険の加入をぜひ検討してみてください。


都道府県で地震保険の保険料は違う

地震保険は、単独で加入することができません。火災保険の特約としてのみ付けることができる保険です。

しかし、ひとたび巨大地震が起こると、その被害額は甚大になります。とても保険会社だけで負担できる金額ではなくなります。そんなとき保険会社が潰れてしまって、保険金が支払われなくなるようなことになれば元も子もありません。ですから、地震保険ではそんなことが起きないように、国が再保険を引き受けています。つまり地震保険は、国と保険会社が共同で運営している保険なのです。そのため、どこの保険会社で契約をしても保険料は同じです。

地震保険料は都道府県によって異なります。地震の発生確率や発生した時の支払額などから算定しています。また、建物の構造によっても保険金額が異なります。

東京都と石川県の保険料を比べてみると、下記のようになります。

東京都(木造)年間保険料41,100円

東京都(耐火構造)年間保険料27,500円

石川県(木造)年間保険料11,200円

石川県(耐火構造)年間保険料7,300円

かなりの差がありますね。保険料が安いから、保険の加入率が高いのかというと、そうでもありません。損害保険料率算出機構「地震保険 世帯加入率」によると、2022年の東京と石川県の加入率は以下のとおりです。

東京都の世帯加入率 37.5%

石川県の世帯加入率 30.2%

(全国平均の世帯加入率 35.0%)

今回の地震で石川県の保険料も上がることになると思います。もう一度繰り返すと、日本全国で地震が起きない場所はありません。しっかりと備えていきましょう。

地震保険には、「建物」と「家財」がある

さて、火災保険の特約で地震保険に契約できるといいましたが、地震保険には、建物と家財の2つがあります。

火災保険の補償対象が建物のみの場合は、地震保険も建物のみ、建物と家財が補償対象の場合には、地震保険は両方に付けることができます。家財の地震保険を忘れがちですが、家財にもしっかり付けるようにしましょう。

地震保険で補償される金額は、火災保険の30〜50%の範囲内までです。そして建物は5000万円、家財は1000万円が限度額です。地震保険は、「火災保険の半分までしか補償がないのか!それでは建物を再建できない!」と思うのは当然です。全壊した家を再建するには難しいです。

しかし、地震保険の役割は、建物を再建するためではなく、生活を再建するための保険です。もし住宅ローンが残っている場合には、立て直すとしたら二重ローンになります。それを解消するためにも地震保険は役立ちます。

地震による火災は「火災保険」では補償されない!

能登半島地震では、輪島市で発生した大規模な火災で、多くの住宅に被害がありました。しかし残念ながら火災保険では補償されません。火災保険では、地震や津波などの被害は免責になっているのです。つまり地震が原因の火災は、地震保険でしか対応ができないのです。

また、地震により停電が発生していて、その後、復旧して電気が流れて起こった漏電やヒーターによる火災もあります。この場合にも地震が原因による火災となって火災保険では免責になるのです。地震・噴火・津波などの被害には、地震保険しか対応できないことを知っておくべきでしょう。

簡易トイレの準備も大切

ちなみに、全壊になった住宅を新築した場合に、どのくらいに費用がかかるのかみてみましょう。

新築の費用の平均として2500万円だとします。それに対して、公的支援は被災者生活支援金として300万円、それに善意による義援金などで100万円の合計400万円です(東日本大震災の例)。とても足りないですね。しかも、これ以外にも家財のお金や引っ越しの費用、生活再建の費用なども掛かります。もし全壊したローンが残っていると2重ローンになります。もちろん、非常持ち出し袋、水などの備えも必要ですし、簡易トイレも必要です。

阪神・淡路大震災の時、現地へ行ったときに感じたのが、トイレの強烈な臭いです。そのなかに入ることさえ躊躇してしまいます。トイレの重要性を痛感しました。地震対策とは、備えをしっかりしておくことが安心につながるのです。

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