中国は過剰生産能力にどのように対応するか―独メディア

7日、ドイチェ・ヴェレは、経済不振にあえぐ中国において、これまで棚上げしてきた生産能力過剰の問題の解決がいよいよ迫られているとするドイツメディアの報道を紹介する記事を掲載した。写真は中国の労働者。 

2024年3月7日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国版サイトは、経済不振にあえぐ中国において、これまで棚上げしてきた生産能力過剰の問題の解決がいよいよ迫られているとするドイツメディアの報道を紹介する記事を掲載した。

記事は、独紙ハンデルスブラットが掲載した、元在中国EU商工会議所会頭のイェルク・ブットケ氏の評論を紹介している。同氏はその中で「中国政府は、効率が低下した国有企業の多くで生産過剰が発生することを防ぐために必要な改革を再三先延ばしにしてきた」とし、経済不振が続く中での開会となった今年の全国人民代表大会(全人代)会議に際し「今やこの大きな問題は隠せなくなっており、行動を起こす必要がある。中国政府に果たしてこの問題を根本から解決する政治的勇気はあるのか」と疑問を投げかけた。

そして、中国の生産過剰状況について「アルミ生産量は米国の13倍、セメント・鋼鉄生産量は世界の半分以上。太陽光パネル生産能力は世界需要の2.5倍」と紹介し、あまりにも巨大な生産能力による低価格での世界市場向け販売の努力がすでに数多の貿易紛争を引き起こしていると指摘。自動車についても年間4000万台の生産能力に対して国内販売は2300万台にとどまり、ますます多くの自動車を輸出しようとしているが、今なお輸送能力が不足したままであるとした。

その上で、国有企業で巨大な生産能力過剰が起こった要因として、地方保護主義や中央政府の政策が十分に実行されていないこと、市場シェア獲得を目指す企業が地方の補助を受けて盲目的な生産拡大を続けていることを挙げた。また、国有企業を破産させるわけにはいかないという事情もあると伝えている。

同氏は「中国共産党はこれ以上国有銀行が際限なく国有企業に融資を提供しないようにしなければならない。また、大型の国有企業にさらに多くの利益配当金を収めさせることで社会福祉の資金を充実させるべきだ。さらに、地方政府には環境保護法規順守を徹底させ、補助を減らすよう求めること。今からでも遅くはないが、仮に中国政府がかじ取りに失敗すれば、経済成長の鈍化が一層進むと同時に、欧州でも貿易保護主義が再び頭をもたげてくる」と論じている。

ドイチェ・ヴェレはまた、独紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングが「経済成長率5%前後、インフレ率3%、失業率5.5%、新規債務の対GDP比3%」といった全人代会議での李強首相による目標設定について「中国経済が疲弊し市民の不満が高まる中、中国政府が重んじているのは毎年同じような目標を掲げることであり、大きな改革や経済刺激策の政策をいまだに打ち出していないことは明らかだ。多くの人は早々に改革への期待を捨ててしまっている」と評したことを併せて伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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