教師の夢かなえた姿に勇気 福島民報社が北国新聞に掲載 応援紙面きっかけに心の交流

根本翼さん

 能登半島地震を受け、福島民報社が石川県の北國新聞に掲載した応援紙面をきっかけに、災禍を経験した県民同士の心の交流が芽生えた。紙面では、福島県いわき市の根本翼さん(26)が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の翌年に石川県を訪れ、当時副知事だった竹中博康さん(73)から受けた言葉を支えに夢をかなえたことを紹介。それを読んだ竹中さんは「今度は私が勇気をもらった」と根本さんに手紙を送った。

 根本さんは白河市の白河二中3年の時、福島民報社の「うつくしま復興大使」の一員として石川県庁を訪ねた。応対した竹中さんから「経験を次の世代につなぐことが大事。未来を信じて」と励まされ、小学校教員を志した。1月18日の北國新聞と福島民報に載った応援紙面は「未来を信じて」の大見出しで、夢をかなえて湯本三小の教壇に立つ根本さんの石川県や竹中さんへの思いを伝えた。

 現在は石川県信用保証協会長を務める竹中さんは紙面に驚き、根本さんの成長を喜ぶ気持ち、七尾市の実家が被災した様子などを手紙につづった。同市などの教委を通じ、小中学生に紙面を見てもらうよう呼びかけたことも記した。

 「根本さんのメッセージは能登の子どもたちにも勇気を与えたはず」と竹中さん。根本さんは「未来を信じて、という言葉がつながっていってほしい」と、教え子とともに復興を願う。

竹中博康さん

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