大熊キウイ復活へ一歩 移住大学生の会社ReFruits ほ場整備完了、苗植栽

キウイの苗を植える原口さん(左)と阿部さん

 福島県大熊町で東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生前に特産品だったキウイの生産復活に向けた取り組みが動き出した。町に移住した大学生2人の株式会社ReFruits(リフルーツ)によるほ場整備が完了し、9日に記念の苗を植えた。

 リフルーツ代表の原口拓也さん(23)=大阪府出身、和歌山大4年=、副代表の阿部翔太郎さん(22)=神奈川県出身、慶応大3年=はナシ農家から下野上の土地を借り、約2.5ヘクタールのほ場を整えた。約20人の住民らに見守られてキウイの苗を1本植え、実り豊かな畑になるよう祈った。

 原口さんと阿部さんは2022(令和4)年、町民有志らの「おおくまキウイ再生クラブ」に参加した。町内でキウイを育てていたフルーツガーデン関本の果実を食べる機会があり、おいしさに引かれると共に、古里を追われて栽培できなくなった農家の無念も聞いた。「もう一度、大熊でキウイを作る」との思いを募らせ、農家を志した。

 フルーツガーデン関本の関本元樹さん(23)から手ほどきを受け、3月中旬ごろまでに約600本の苗を植える予定。果実が実るまでに3年程度を要するとされ、2026年秋ごろの初収穫を見据える。

 原口さんは「おいしいキウイを皆さんに届けていきたい」と誓い、阿部さんは「果実が町の誇りとしてもう一度広まるよう精進する」と意気込んでいる。

© 株式会社福島民報社