福島の水産物、魅力伝えよう 高校、大学生らグループ設立 初イベントで相馬産の魚料理味わう

福島県産水産物の魅力を来場者に伝える寺尾さん(右から3人目)

 福島県産水産物の魅力を発信しようと、同県郡山市の高校生が立ち上がった。郡山高3年の寺尾怜生(れい)さん(18)は同じ思いを持つ県内の高校生や大学生を募り、有志グループ「Fukushima Ocean Challenge(FOC)」を設立。初めてのイベントとして9日、市内の「ゆ~くる」で相馬市産の魚を使った料理を味わう「ふくっしゅマルシェ」を催した。

 寺尾さんは両親がかつて住んでいたいわき市をたびたび訪れ、海が好きになった。昨年8月、地元漁業者らが反対する中で、東京電力福島第1原発事故に伴う処理水の海洋放出が始まった。豊かな県内の水産物を守るため、自分にできることは何か考えた。

 現場の声を聞くため、寺尾さんは海洋放出の前日、知人の紹介で相馬市の漁師松下護さん(45)を訪ねた。困難に負けず、おいしい魚を届けたいと願う声を聞いた。熱い思いを多くの人に伝えようと交流サイト(SNS)などで仲間を募り、2月に10人でFOCを立ち上げた。オンライン会議を通し、イベントの企画を進めてきた。

 ふくっしゅマルシェでは、郡山市でマグロの仲卸を営む山吉水産の協力で、すしなどが振る舞われた。SNSで発信してもらおうと県内の高校生らに参加を呼びかけ、約20人が訪れた。松下さんの思いを聞く場も設けた。

 寺尾さんは4月、福井県立大海洋生物資源学部に進学した後もFOCの活動を続ける。県産の魚を使用し、若い世代が気軽に食べられる価格のすしの創作料理を開発することなどを考えている。大学卒業後は行政の立場から漁師らがより活躍できる仕組みをつくるのが目標。「多くの人を巻き込み、福島の水産業を盛り上げたい」と決意をみなぎらせている。

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