【川崎】敗戦の京都戦で光ったアンカー・山本悠樹。エレガントなプレーぶりはシャビやピルロのように

[J1第3節]川崎 0-1 京都/3月9日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

前節、リーグのホーム開幕戦で磐田に4-5で敗れた川崎は3節で京都と対戦したが、またも本拠地の等々力で敗戦。ACLも含めホームで公式戦3連敗を喫した。

重い結果にスタジアムは意気消沈したが、中盤で存在感を放ったのが、今季G大阪から新加入し、高い技術力とパスセンスでサポーターの心をすぐさま掴んでいる山本悠樹である。

ここまでは4-3-3のインサイドハーフを務める回数のほうが多かったが、この日はアンカーで先発。

すると中盤の底から長短のパスを次から次へ正確に届け、周囲と連係しながらポゼッションにも大きく寄与。そのエレガントなプレーぶりに魅了された人は多いはずだ。

本人もプレーしていて手応えがあったのではないか。そう聞けば、こう答が返ってくる。

「アンカーは基本的に前を向いてボールを持つことができ、元々、全体を見るのも得意です。(左ウイングの)マルシーニョらスペースを使える選手がいると、そこが第一優先だと思いますし、特に京都さんはプレスをかけてくるので、ハイラインだという試合前のスカウティングがありました。

そこをひっくり返せば、相手の第一陣のプレスを剥がせるのは頭のなかにあったので、前半はそういうシーンを作れたのは良かったと思います」

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守備の強度、セカンドボールの奪い合いという面では、まだ向上の余地はあるのだろうが、川崎スタイルへのいち早い適合には驚かされるばかりである。それでも本人はまだ良くなるとの想いがあるようだ。

「みんな個々人のリズムがあると思うので、それを汲み取るのは得意です。居て欲しいところに立つだとか、誰かと誰かをつなぐとか、そういうところは意識してポジションを取れているのかなとは思います。

でもまだまだ得点に絡むようなボール回しができないと、今日はそこが良くなかったので、まだまだ改善点が必要かなと感じます」

三笘薫や旗手怜央らと同世代の26歳。バルセロナで一時代を築いたシャビや、そのシャビの下で現在のバルセロナを支えるペドリらのプレーからインスピレーションを受けているのだという。

そして“レジスタ”のように正確なパスを供給し続ける姿は、かつてミランの黄金期を支えたピルロのような佇まいでもあった。彼のさらなる進化には注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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