要所を抑えた大坂なおみが世界15位サムソノワにストレート勝利!「自分のショットを打つことを心掛けた」<SMASH>

スコア以上に、苦しんだ試合だったかもしれない。特に、最も頼れる武器であるはずのサービスが不発で、エース4本に対し、ダブルフォールトは5本を数えた。ファーストサービスの確率は50%を割り、ポイント獲得率も相手を下回る。

それでも終わってみれば、世界15位のリュミドラ・サムソノワ(ロシア)を相手に7-5、6-3のストレート勝利。産休から復帰以来、最もランキングの高い選手から得た勝ち星となった。

今年1月上旬、復帰後テニスツアー初参戦のブリスベン国際2回戦でカロリーナ・プリスコワ(チェコ/世界39位)に敗れた時、大坂なおみ(同287位)は、今の自分に必要なのは「試合勘」だと言った。

その一月後のカタールオープンで再びプリスコバに6-7(6)、6-7(5)で敗れた時も、「大事なポイントでいかにプレーするか」を改題として挙げている。

そして、今回のBNPパリバ・オープン、2回戦――。

大坂は「セットポイントのような大切な場面で、自分を信じ、いかなる結果になろうとも後悔しないで済むように、自分のショットを打つことを心掛けた」と言う。

「オーストラリア(のプリスコワ戦)で、確か12本のブレークポイントを一度もブレークできなかったことを思えば、今は随分とましになった」と、苦い思い出を笑顔で振り返った。
この日の試合で最初のターニングポイントとなったのは、第1セットでゲームカウント4-1とリードしながらも、5-5に追いつかれた場面。第11ゲームでも2本連続のブレークポイントを許したが、そこからエースを叩き込むと、以降も3連続サービスウイナーで切り抜けた。

さらには第2セットでも、同様の場面が訪れる。ゲームカウント4-2のサービスゲームで、相手にブレークポイントを許した。まるで第1セットを焼き直したかのような展開。ただこの場面での大坂は、自ら攻めてキープに成功した。

「第2セットでは、第1セットと同じ過ちを繰り返してはいけないと思っていた」と彼女は言う。さらには「相手が素晴らしいショットを打ってくることは、(コーチの)ウィム(・フィセッテ氏)からも言われていた」。だからこそウイナーを決められても、「受け止め次に進む」心の準備もできていたようだ。

この大会に挑むにあたり、大坂は「私には達成したいプランがあり、その成功が垣間見える時もあるけれど、うまくいかないことも多い」という。

だからこそ「また次の試合で、自分の計画を遂行する機会が得られるのがうれしい」と言った。

その次の相手は、世界28位のエリーズ・メルテンス(ベルギー)。初対戦で負けて以来、3連勝中と相性の良い上質な選手相手に、己に磨きを掛けに行く。

現地取材・文●内田暁

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