東日本大震災の教訓を伝え、次の災害から命を守るための語り部活動が苦境に立たされている。民間団体の調査で、東北被災地の語り部団体のうち活動継続に不安を感じるとの回答は96%。担い手の高齢化や資金難が理由だ。「このままでは自然消滅する」と悲痛な訴えも。国や自治体からの支援強化を求める声が広がる中、震災を知らない若い世代が役割を担おうという動きもある。
宮城県石巻市の公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」は昨年12月、岩手、宮城、福島3県で語り部などの震災学習プログラムを実施する団体を対象とした調査報告書を公表。24団体のうち4団体が、活動継続に「大いに不安がある」、12団体が「多少不安がある」、7団体が「不安がある」と回答した。「あまり不安がない」は1団体のみで、不安がないとの回答はゼロだった。
人材面の課題を複数回答で聞くと、15団体が「高齢化で後継者がいないか少ない」と回答。「30代以上の参入がないか少ない」(13団体)「20代以下の参入がないか少ない」(12団体)も目立った。現状では、現役引退後の比較的高齢世代が団体の中心となって活動するケースが多く、先細りへの懸念が浮き彫りとなった。