珠洲の中学生、笑顔の家路 集団避難終え金沢から 1カ月半ぶり

集団避難先の金沢から帰郷し、笑顔を見せる中学生=10日午後4時10分、珠洲市民図書館

 能登半島地震で被災した珠洲市の中学生53人が10日、金沢市内での集団避難を終え、珠洲へ戻った。約1カ月半に及んだ共同での生活に、生徒からは「一日も早く珠洲に帰りたかった」「家族と会えずに寂しかった」などの声が漏れ、保護者との久しぶりの再会を喜び家路に就いた。生徒は12日に行われる卒業式に出席する。

 雪が降る中、生徒はキャリーケースや紙袋に詰めた荷物を運び出し、2台のバスに分かれて、滞在していた金沢市の医王山スポーツセンターを出発。施設の職員らが手を振って見送った。3年生12人のほか、卒業式に出席するため、1、2年生計41人も同行した。

 バスは午後4時過ぎ、珠洲市民図書館に到着。子どもたちは、待っていた家族の姿を見つけると、照れくさそうに駆け寄った。

 緑丘中3年の浜野日菜子さん(15)は「慣れない環境で苦労していたので、珠洲で過ごせる日を心待ちにしていた」と笑顔を見せた。母由喜子さん(49)は「無事に帰ってきたことにほっとした。これからは家族全員で食事を楽しむことができる」と話した。

 珠洲市内の中学生102人は1月21日に集団避難を始めた。一部の生徒は既に地元へ戻っている。

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