日経平均4万円超えの実態は?日経平均寄与度2〜5位は半導体・AI関連!今後の展開を分析

3月4日の日経平均株価(以下、日経平均)は初の4万円台となる4万0109円23銭で終了しました。年始から上昇していた日経平均ですが2月中旬から急ピッチで上昇を続け、2月22日にこれまでの最高値3万8915円(1989年12月29日)を上回る3万9098円を付けました。そこから僅か6営業日目で4万円台を付ける結果となりましたが、猛烈なスピードに着いていけない投資家の方も多いのではないかと思います。


寄与度上位5銘柄

このように日経平均が勢いよく上昇する背景には寄与度に鍵があります。日経平均構成比率上位5銘柄に着目すると、1位はファーストリテイリング(9983)で日経平均寄与度は10.93%ですが、2位から5位に半導体・AI関連が揃っています(3月8日現在)。

2位:東京エレクトロン(8035)寄与度9.66%
3位:アドバンテスト(6857)寄与度4.65%
4位:ソフトバンクG(9984)寄与度4.52%
5位:信越化学工業(4063)寄与度2.76%
(世界の株価と日経平均先物より)

この4社による日経平均寄与度は合計で約22%にもなります。半導体・AI関連が上昇するきっかけになったのは米国の半導体メーカーのエヌビディアの決算発表でした。同社は2月21日、2023年11月から2024年1月期の決算発表を行い、売上高はAI需要急拡大で前年同期比の約3.7倍にあたる約221億ドル(約3兆3150億円)、純利益は約8.7倍の約123億ドル(約1兆8450億円)で過去最高でした。

半導体・AI関連の影響が強まる?

今後の日経平均の方向性としてやはり半導体・AI関連による部分が色濃くなりそうです。日本経済新聞社は今月4日、日経平均の構成銘柄の定期見直しで3銘柄を入れ替えると発表しました。4月1日からディスコ(6146)、ソシオネクスト(6526)、ZOZO(3092)を採用するとしています。ディスコは半導体メーカー・電子部品製造・加工で世界首位です。ソシオネクストはSoC(System-on-Chip)と呼ばれる半導体に特化し、設計・開発から販売までを手掛けるメーカーです。この2社は半導体関連ですので日経平均はより一層、半導体・AI関連の影響を受けやすい指数になります。このまま半導体・AI関連が好調であれば問題は無いのですが、調整場面が続くと日経平均が大きく下がる展開になる可能性があるかもしれません。ちなみに除外銘柄は宝ホールディングス(2531)、住友大阪セメント(5232)、大平洋金属(5541)です。

意外と知らない日経平均の算出方法

日経平均の計算方法ですがどのように計算されているのでしょうか。「日経225銘柄の株価合計÷225=日経平均株価」と考えがちですが実は違います。株式には「額面」と呼ばれる調整をするものがあり、比較的古い会社は50円額面、新しい会社は5万円額面でした。2001年以降はこの制度が廃止され、それ以降の株式には額面は存在しません。

そこで仮に額面があるものとして「みなし額面」を設定して計算することになりました。古くは50円以外の額面も存在した為、そのまま計算する訳にはいかないので、一旦50円に換算して計算します。それぞれ500円額面は10分の1として、5万円額面1000分の1にして、調整をします。この事を「みなし額面による調整」といいます。一方で株式分割が行われた場合などは、株価は変わっていないのに株式数が増えてしまうため、こちらも調整をします。もともとは225だった除数ですが株式分割、銘柄入れ替えなどにより現在の除数は約30.02932です。

日経平均銘柄の入れ替えに歴史あり

ところで日経平均の入れ替えが「著しく流動性が低い銘柄を除外し、他の銘柄で補充する」というルールに従い行われたのは今から約33年前の1991年10月です。理由は一部の品薄銘柄(片倉工業、台糖、帝国繊維、松坂屋、大東紡績など)の売買により日経平均が乱高下する要因となった為です。1988年秋に日経平均先物が誕生した事により、裁定取引が活発化した事が影響しました。また、2000年4月には一気に30銘柄を入れ替えた経緯があります。この時は「値がさ株」を採用し、低位株を除外しました。除外銘柄を売却しただけでは新採用銘柄を買い付ける資金が足りず、追加資金捻出のため、全銘柄の株を売却して買付資金の差額分を捻出する必要が生じた為、日経平均は大幅に下落しました。

その後も幾度となく銘柄入れ替えを経ています。昨年から日経225の定期見直しは春と秋の年2回になり、今回は春としては2回目となります。

このように日経平均株価は紆余曲折を経て現在の状況となっています。「4万円突破!」「過去最高値!」とニュースや新聞紙面の見出しで大きく報じられても、中身を知れば私のように、はてなマークが浮かぶ人もいらっしゃるのではないかと思います。とはいえ、日本市場の活況報道には希望の兆しを感じますし、長く低迷していた時期を思えば、賑やかな市場の雰囲気には経済見通しの明るさを示しているようにも感じます。今後の動向を注意深く見守りたいと思います。

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