「ある日突然乳がんになりました」那須塩原出身イラストレーターMineさんが闘病体験を漫画に 電子書籍で無料公開中

 那須塩原市出身のイラストレーターMine(みね)さんは、自身の体験をつづった漫画「ある日突然乳がんになりました」をインターネット通販大手アマゾンの電子書籍「Kindleストア」で無料配信している。30代後半のMineさんが自己触診でしこりを発見してから手術、治療に至るまでの約10か月間をシンプルに表現。「自分の気持ちを落ち着けるために書き始めたが、誰かの参考になれば」と話す。

 乳がんに関する絵の仕事をした経験から、まめに触診をしていたというMineさんが、左胸に異変を感じたのは昨年4月。「枝豆くらいの硬くごつごつしたしこり」に気付き、総合病院の乳腺科を受診した。

 6月中旬に診断が確定し、「一つだと思っていたしこりは三つあって、一つが悪性で一つは良性。残りはがんになる前のものかもしれないとのことだった」。注射、閉所・暗所が苦手なMineさんにとって、太い針で細胞を採る病理検査や磁気共鳴画像装置(MRI)は、過呼吸になるなど“地獄”だったと赤裸々に語る。

 手術では完全に悪性だと分かっている部分を中心に直径約4センチを切除し、小さなしこりがあったリンパからも採取。幸い転移はなく3時間ほどで終了した。

 「7月中旬だったので、術後の痛みより傷を圧迫するベルトや、血栓を防ぐ着圧ソックスなどが暑くてかゆくてつらかった」と苦笑するものの、8日間の入院生活は、手術翌日にはほとんどの管が外れ、自力で歩けるなど順調な回復だった。

 退院1か月後から20回の放射線治療、その後2年計画でホルモン治療が続く。生理を止めるため、「汗をかかない体質だったのに、シャワーを浴びたまま服を着たような状態になる。集中力や記憶力も落ちて、日常の当たり前のことができなくなった」など更年期のような症状に苦しむ。

 現在は食生活の改善や運動、自分のペースで仕事を再開することで少しずつ快方へ向かっている。「まだまだ以前の生活には戻れないが、この体験を記録しておこうと、覚えている限りを素直に絵にした」という。「医学的な知識はないので、あくまでも『ワタシの場合』。何かの参考や検診の大切さに気付くきっかけになればうれしい」

 全1話、112ページ。全話無料で公開中。

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