大手菓子メーカー・ロッテが「使い捨てカイロ」なぜ? 開発から販売までの秘話を広報に聞いた

使い捨てカイロをなぜ菓子メーカーが販売しているのだろうか?

まだ低い気温が続く3月。使い捨てカイロが欲しくなり、ドラッグストアに向かうと商品棚には「ホカロン」という使い捨てカイロが置いてあり、よく見ると販売元は有名菓子メーカー「ロッテ」となっています。なぜ同社が使い捨てカイロを販売しているのでしょうか。株式会社ロッテ(東京都新宿区)の広報に話を聞きました。

【写真】初代ホカロンのパッケージデザイン

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事前にネットで調べると、『世界で初めて使い捨てカイロを作ったのはロッテ』や『他の製品開発の実験中に失敗したことが開発のきっかけになった』など情報が出てきます。これらの情報についてロッテの広報担当者に尋ねると、「都市伝説のようなもので事実ではありません」と否定。

「今から46年前の1978年に使い捨てカイロの『ホカロン』がロッテから発売されました。当時、ロッテと脱酸素剤(食品の包装に入っている酸化を抑える小袋)で取引のあった企業様から、今の使い捨てカイロの原型と言える品質の提案がありました。先方が販路を持っていなかったことから、弊社にて商品サイズやデザインおよびネーミングなどの商品開発に関わり、弊社で販売することになったのです」(広報)

使い捨てカイロ自体はそれ以前にも一部医療機関向けなどには販売されており、また先述の経緯からも「実験中の失敗から誕生した」という説はフェイクだとのこと。広報いわく「1個100円という求めやすい価格設定にしました。手軽に暖を取れ、火を使わないため誰でも安心して使えたこともあり、全国に広く普及していきました」ということで、初の開発ではなくても、一般的な普及に一役買ったのはロッテだったようです。

ではなぜ現在でも使い捨てカイロを販売しているのでしょうか。

「“お口の恋人ロッテ”というキャッチフレーズでも知られる弊社は、1948年の創業以来グリーンガムやガーナミルク・クランキー・小梅などを世に送り出しておりました。1978年の『ホカロン』開発当時、菓子メーカーであると同時に“お客様の立場に立ち、独創的なアイディアを探し続ける”ことを大事にすべき価値として取り組んできました。そういった理由から、“みんなにあったかい”をお届けするべく今でも販売を続けております」(広報)

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まもなく気候は暖かいものとなり、使う機会も減りそうな使い捨てカイロ。ロッテによると「夏場はクーラーで冷えた体を温めるのにもおすすめです」とのこと。場所や季節を問わず、あらゆるシーンで活用するのもいいかもしれません。

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