【会話術】「また会いたい」と思われる人と、そうでない人の差はどこに?|コミュニケーションのプロがアドバイス

初対面の人と会うとき、あるいは、サークルやお稽古事、久しぶりの同窓会で、「また会いたい」と思われる人とそうでない人との差はどこにあるのでしょう。豊かな人づき合いのために身につけたい「大人の会話術」を考えます。

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大人の会話の基本は常に「相手の反応を見る」こと

「また会いたい」「一緒にいると楽しい」「感じのいい人」と思われるための会話術というと、どのような話題を、どう話したらいいか、ということにまず関心が向くが……。

「もちろん、話題や話し方は大切ですが、経験を重ねた大人世代なら自分が何を話すかより、自分が投げかけた言葉に相手がどう反応するか、『聞くこと』を意識する会話術で、初対面の人ともラクにいい関係を築くことができるんですよ」とコミュニケーション・インストラクターの杉山美奈子さんは言う。

たとえば趣味を話題に、「最近、私は落語にはまっているんです。〇〇さん、最近、はまっていることありますか?」と尋ねた場合。

「相手が『週に2日、ホットヨガに通ってるのよ』とラフに答えてくれたのであれば、『面白そう! どんな教室なの?』と、同じような言葉遣いで返します。相手の返事が、『最近、ホットヨガのお教室に通い始めたんです』と丁寧な言葉遣いであれば、『そうなんですね。どんなお教室ですか?』と丁寧に聞き返します。こんなふうに相手の反応を見ながら言葉遣いや口調を変えたり、相手が話してくれたことをふくらませたりすれば、自分が何をどう話そうかと頭を悩ませなくても、楽しくスムーズに会話を進めることができるし、いい印象をもってもらえるはずです」

また、質問するときは単に「趣味はなんですか?」と聞くのではなく、「私の趣味は〇〇なんですが」と、まず自分のことを簡単に話すのもポイント。

「ちょっとしたことでも自分をオープンにすると、相手も自分のことを話しやすくなりますから」

「また会いたい」と思うのはどんな人?

「また会いたい」と思うのはどんな人か? ゆうゆう読者へのアンケート結果は以下のとおり。

●1位 話を聞いてくれる人
●2位 笑顔が素敵な人
●3位 話題の豊富な人
●4位 気を使わせない人
●5位 明るく前向きな人

アンケート結果をもとに、「また会いたい」と思われる人になる会話術を、杉山美奈子さんに教えていただいた。

【話を聞いてくれる人】になるには?

会話の中心は相手。あいづちにも気配りを

「読者アンケートの1位も『話を聞いてくれる人』ですね。人は話を聞いてくれる人に好意をもちます。何か聞かれて答えたあとは、必ず『〇〇さんはどうですか?』と『& you?』をつけるようにしましょう」

話を聞くときは相手の目を見て、適度に身を乗り出し、効果的な「あいづち」を。

「特別な言葉を使わなくても好印象を与えられるのが、あいづちです。あいづちは『はい』だけでも十分ですが、どのように『はい』を言うかが大事。相手が楽しそうに話しているときは、高めの声のトーンであいづちの回数も多めに。暗い話や深刻な話のときはトーンを低くして回数は少なめにし、間をとってあいづちを打ちます」

相手が怒っているときのあいづちは、「まったくですよね」や「わかります」と、共感のひと言を。

「気をつけたいのは『なるほど』や『さすがですね』。何度も言われると、とってつけたような印象を与えます。過剰に使わないようにしましょう」

Point

⚫️「聞く」:「話す」は7:3と心得て⚫️
当然だが、自分のことばかりを長々と話すのはNG。周りの空気や相手の話しぶりをとらえて、「聞く」が7割、「話す」が3割ぐらいの意識でいると好印象に。

⚫️1つ話したら「& you?」と疑問形に⚫️
自分のことを話したら「〇〇さんはどうですか?」と、相手に質問を投げかけると会話がスムーズに。相手の答えがひと言で終わったときは、関心がないか答えたくない話題と心得て。

⚫️うなずきや簡単なあいづちも効果的⚫️
「そうですね」「わかります」といったあいづちもいいが、話の内容によって笑顔や真剣な表情でゆっくりうなずいたり、「はい」と言ったりするだけで効果的な場合もある。

【笑顔が素敵な人】になるには?

普段から意識して口角を上げる練習を

「笑顔は何よりも相手にいい印象を与えます。やわらかく美しい笑顔を心がけましょう」

自然で素敵な笑顔で人と接するには、練習も必要。

「普段から眉間のシワやへの字口には気をつけましょう。意識して口角を上げるようにしますが、慣れないと引きつった笑顔になってしまうことも。ずっと笑顔でいなくても、あいさつの前後や話が盛り上がったところで笑顔になると好印象です」

効果的な笑顔のタイミングは?

【あいさつのとき】
あいさつは相手の目を見てやわらかい笑顔で。
「『〇〇さん、こんにちは』『今日はお会いできて嬉しいです』などと、言葉にしてからおじぎをします。別れぎわのあいさつも明るい笑顔で」

【話し終わったとき】
自分の話が終わったときも笑顔のタイミング。口角を上げてにっこりすると好印象に。
「自己紹介などで立って話をしたときも、話し終わったら笑顔でその場の人全員の顔を見てから座りましょう」

【話が盛り上がったとき】
話が盛り上がり、「そうですね」「いいですね」などとあいづちを打つときも笑顔で。
「話の内容によっては、ほほ笑んでゆっくりうなずくと、『楽しんで聞いてくれている』と相手に安心感を与えられますよ」

Point

⚫︎直前に何があろうとも、あいさつは笑顔で⚫︎
第一印象は大事。たとえ家を出る前に家族とケンカしたとしても、来る途中の満員電車で不快な思いをしたとしても、あいさつは明るい笑顔で。

⚫︎意識して口角を上げる⚫︎
意識して口角を上げるだけで優しい笑顔の印象に。難しければ、鏡を見てチェックしながら「ウイスキー」と声に出して口角を上げる練習を。?

第2回では、読者アンケート3〜5位の【話題の豊富な人】【気を使わせない人】【明るく前向きな人】になるためのアドバイスをご紹介します。

※この記事は「ゆうゆう」2021年8月号増刊(主婦の友社)の記事を、WEB用に再編集したものです。

※2023年10月10日に配信した記事を再編集しています。


監修者
コミュニケーション・ インストラクター 杉山美奈子

すぎやま・みなこ●コミュニケーション・ インストラクター、キャリアカウンセラー。文筆業の他、大学などで話し方や聞き方など、コミュニケーション法を教える仕事も。ベストセラーの『暮らしの絵本 話し方のマナーとコツ』(学研プラス) をはじめ、気持ちの伝え方に関する著書・監修書多数。

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