【東日本大震災から13年】当時被災した体験から振り返る「あのとき、ちゃんと用意しておけばよかった防災グッズ」3選

東日本大震災から本日で13年。今でも鮮明にあの日の恐怖と、辛かった避難所での生活が脳裏をよぎります。

「あの時、ちゃんと用意しておけばな」という後悔は数えるときりがありませんが、そんな中でも絶対に用意しておいてほしいと思う防災グッズを3点ご紹介します。

写真ACより

当時18歳、春休み中だった筆者は、宮城県多賀城市にある、家族で住む自宅マンションで被災しました。

グラッ! と、感じたことのないような揺れ方に二段ベッドの上段から動けず、揺れが収まったときには本棚やラックがすべて倒れていました。

大声で家族の無事を確認すると、倒れた家具を必死にドアの前からどけ、部屋から這い出た記憶は今でも夢に出ます。

割れた食器を片付けようとする親の手を引き、財布と携帯電話、コート、厚手の手袋を持ってマンションの階段を駆け下りました。高台まで避難すると、あっという間に津波が押し寄せてきました。

津波というと、海外のサーフィンスポットのような高波を想像していましたが、まるで追い炊き機能のあるお風呂を沸かすときのように、静かに静かに水位が上昇し、すべてを飲み込んでいくあの光景は恐怖以外の何物でもありません。二度とあの時のようなことが起こらないことを願っています。

1.防寒具は必ず「防水」のものを

被災者に追い打ちをかけるように、その日多賀城市では積もるほどの雪に見舞われました。

慌てて飛び出したため靴は普段履いているスニーカーでした。近隣の避難所に向かうまでには雪が染みてしまい、夜が明けるころには霜焼けに苦しんだのを覚えています。持ってきた厚手の手袋も防水のものではなかったため、ほとんど役に立ちませんでした。

ですので、絶対に用意してほしいものの1つ目は、雨や雪の日でも使える「防水の靴、防寒具」です。家族全員分を用意し、逃げる際に「この靴を履く」と示し合わせておくのをお勧めします。

避難所では市が用意した石油ヒーターなどで暖が取られていましたが、必ずしも十分ではありません。カイロなども使用期限を確認しつつ、防災かばんに入れておくと万全でしょう。

写真ACより

2.とてもありがたかった、除菌用ウェットティッシュ

避難所での生活で一番つらかったのは、水を自由に使えないことでした。

お風呂はもちろん、配給の食事を食べる前に手を洗うこともできず、非常に不衛生で体調を崩す人も周りにいました。そんな中とてもありがたかったのは、避難所で隣り合った人にいただいていた除菌用のウェットティッシュです。

BuzzFeed JAPAN / のす

食事前に少しでも衛生的にいられるというのは気持ちが楽になりますし、お風呂に長期間入れない中、汚れた体を拭くことができるのはとてもありがたかったです。

円筒型のものよりも、四角いティッシュのようなタイプのものがかさばらないためおすすめです。防災かばんに1、2個入れておくのをおすすめします。

日数がたつと乾いてしまうため、定期的に交換して用意しておきましょう。

3.どうしても必要になる娯楽…充電式ではないラジオがおすすめ

最初こそ携帯電話で友人と連絡を取ったりできていましたが、避難所で充電することは難しく、すぐにバッテリーが切れてしまいました。そうなると徐々に慣れてきたこともあり、退屈が押し寄せてきました。

そんな時にありがたかったのは電池式・手回し式で使うことができるラジオです。

避難所にもラジオがありましたが、基本的には給水の情報やスーパーの前で一時的にパンが販売されるといった報道番組のためのもので、音楽やトーク番組は流されませんでした。

手回し式のラジオを持っていた人が聞かせてくれた音楽番組を、私を含む子どもたちが身を寄せ合って聞いていたことは、つらい避難所生活でしたが一瞬心が休まる、とても素敵な思い出として記憶に残っています。

情報収集にもとても便利なので、充電しなくても使えるラジオは少々かさばりますが、おすすめしたい防災グッズです。

写真ACより

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自分のような不自由な思いを誰もしなくてすむように、しっかりと経験を伝えるのが被災者としての務めだと信じ、お伝えさせていただきました。

防災グッズの中には、災害が起こってからでは手に入りにくいものもたくさんあります。ぜひ家族で相談し、防災グッズを揃えてみてください。

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