宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」アカデミー賞 引退撤回、83歳で栄誉、「キャリアと引き際」を考える

スタジオジブリの宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか」が、日本時間2024年3月11日に開催された「第96回アカデミー賞」で、長編アニメーション映画賞を受賞した。

宮崎監督は2013年、いったんは引退を表明。しかし、それを撤回し、今回の栄冠に輝いた。83歳での受賞という「生涯現役」とも言える活躍を見せる宮崎監督には、「君たちはどう生きるか」というタイトルよろしく、キャリアの「引き際」を考えさせられる。

キングカズは57歳現役、鈴木おさむ氏は40代で老害化に気づく

「生涯現役」といえば、サッカーの三浦知良選手を思い浮かべる方も多いことだろう。三浦選手は還暦がすでに視野に入っている57歳にして、なお現役選手だ。

一方、この3月末で放送作家を引退する鈴木おさむ氏(51)は、宮崎監督や三浦選手とは対照的に「早期リタイア」と言える引き際を選んだ。鈴木氏は24年1月24日に発売した「仕事の辞め方」などで「ソフト老害」という概念を提唱。これまで「老害化」とは縁遠いと考えられてきた40代でも、自身が老害化していたという事実に気づいたとして、放送作家を引退する決断に至ったと明かしている。

まさに、「引き際」とは一人一人、全く異なる時期に訪れるのだろう。ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏には「引き際」について、「誰もが必ず向き合わなければならないこと」と指摘。一方で、職業においては「生活の糧としての仕事」と「生きがいとしての仕事」という2種類の側面があることを意識する必要があると指摘する。

仕事は「生活の糧」か「生きがい」か

生活の糧としての仕事とは、自らの生活、そして、老後を生き抜く上で必要な蓄えを、仕事をすることで稼ぎ出していくことだ。ゆえに、自らの人

一方、「生きがいとしての仕事」の引退は、金銭面的な拘束が少なく「自らの意志で引き際を決めることが出来るもの」と川上氏。強いて言うならば「納得感が出たら終わりの合図である」と語る。

「生活の糧としての仕事」と「生きがいとしての仕事」を両立させているであろう宮崎監督が、今後、自身の引き際を考える日が来たとしたら――。川上氏は、「生きがいとしての仕事」としての側面を重視して決断するだろうと語った。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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