アニメツーリズム推進 県西部、住民有志が協議会 「ドラえもん」「大室家」聖地巡礼が人気

ドラえもんの散歩道に設置されたモニュメント像。ドラえもん好きの観光客に人気スポットとなっている=高岡市末広町

 富山県西部の住民有志は地元発のアニメ・漫画を活用した地域の活性化やアニメツーリズムを推進する協議会を設立した。県西部を中心に富山ゆかりの作品に着目し、活性化に賛同する店舗や施設と協力して周遊企画を実施する。高岡市出身の漫画家藤子・F・不二雄さんが生んだ「ドラえもん」や高岡が風景のモデルになっている漫画「大室家」などの聖地巡礼が人気を集めており、多彩な作品を通して、地域一体となって盛り上げる。

 「呉西地域コンテンツツーリズム協議会」は、県西部に住む地域おこし協力隊、飲食店主、伝統工芸の職人ら10人で構成する。アニメや漫画を活用した施策を展開する「とやまJAMP構想」を提唱している川島国県議が会長を務める。

 女子中高生の日常を描いた漫画「大室家」の風景に登場する高岡周辺の施設や店舗には、作品のファンが訪れている。同作品を原作にしたアニメ映画の公開後は、さらに多くの人が「聖地巡礼」に来ているという。

 高岡駅前には、「ドラえもんの散歩道」と題してキャラクターの銅像が設置されている。高岡、射水市を結ぶ万葉線の「ドラえもんトラム」とともに、観光客の人気が高く、記念撮影をする姿が見られる。

 協議会ではこうした作品に着目し、周辺の飲食店や観光施設などを巡った観光客に特典を贈るといった企画を進めている。観光、飲食店関係者らが集まった会議を定期的に開き、意見をもとに随時、活動を展開する。

 県西部では、「忍者ハットリくん」「笑ゥせぇるすまん」などを生み出した藤子不二雄Ⓐさん(元富山新聞記者)の出身地である氷見市が、潮風ギャラリーなどでⒶさんの世界を発信している。南砺市には、同市を舞台モデルとした「true tears」などを手掛けたアニメ制作会社ピーエーワークスがあり、多くのファンに親しまれている。

 協議会では、アニメや漫画を活用したまちづくりに取り組む行政とも連携し、広域的な活性化や、アニメ・漫画を通じた北陸の震災復興、公共交通の活性化などの構想も練っている。

 川島会長は「地元ゆかりのアニメや漫画作品が持つ潜在的な力は全国的に見ても高い。富山に行ってみたい、住んでみたいと思えるような活動を展開していきたい」と話した。

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