金沢港復旧に1年以上 戸水埠頭が損傷 岸壁傾き、液状化で使えず

能登半島地震で戸水埠頭の岸壁や物揚場が損傷した金沢港=11日、金沢市

  ●七尾港も甚大被害、影響懸念

 能登半島地震で金沢港の戸水埠頭(ふとう)が大きく損傷し、本格復旧に1年以上かかる見通しであることが石川県への取材で分かった。激しい揺れで岸壁が傾き、物揚場は液状化や沈下などで使用できなくなった。地震で壊滅的な打撃を受けた能登の漁港に加え、年間300~400万トンの貨物を扱う金沢港や七尾港の一部でも被害が明らかになり、地域経済への影響が懸念される。

 県や国によると、金沢港では戸水埠頭と御供田埠頭の一部で被害が確認された。戸水では、船が接岸するため頑強な造りとなっている岸壁が海側へずれたほか、物揚場は地面が50センチほど沈下し、亀裂が入った。無量寺や石油、五郎島、大浜の各埠頭は目立った損傷はなかった。

 金沢港の総貨物量は2022年310万トンで、埠頭別に見ると、石油埠頭の160万トンが最も多い。25万トンの戸水は全体の約8%だが、水深10メートルが確保されてRORO船の接岸が可能なため、小型建機やセメントなどの積み込みに使われていた。

 地震の被害を受け、県は戸水埠頭で行っていた建機の積み込みを大浜に集約。セメントは他の港から陸送で受け入れている。御供田埠頭でも鋼材やセメントの荷下ろしができず、一部を陸送に切り替えた。

 県によると、七尾港では大田埠頭の一部が使えなくなった。主に北米から木材を輸入する際に使用していた。現在、被害を免れた場所に船を寄せ、荷下ろしを行っているという。

 両港の復旧に向けては、北陸地方整備局が技術的な検討を進めている。ただ、岸壁や埠頭の工事は大規模で広範囲に及ぶため、県や国によると、今回の復旧工事は1年以上に及ぶ可能性が大きいという。

 金沢港を利用する南加賀のメーカー担当者は、戸水埠頭が使用できなくなった影響について「通常より作業時間が増え、費用もかさんでいる。早く元通りになってほしい」と話した。

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