「明るい話題」「強み評価」 アカデミー賞に群馬県内の映画関係者から喜びの声

 米アカデミー賞で日本映画「ゴジラ―1.0」(山崎貴監督)が視覚効果賞を、「君たちはどう生きるか」(宮崎駿監督)が長編アニメーション賞をそれぞれ受賞した11日、群馬県内の映画関係者からは「日本映画界にとって明るい話題」「日本の強みが評価された」などと喜びの声が相次いだ。

 視覚効果賞は日本映画として初めての受賞、長編アニメ賞は21年ぶりの受賞となった。「日本映画の底力を感じた。観客を驚かせたり、映像的にも細かい作り込みがなされている」と話すのは、30年来の「ゴジラ」ファンというNPO法人、たかさきコミュニティシネマ代表理事の志尾睦子さん(49)。VFX(視覚効果)の制作には豊富な資金力と技術力が必要で、これまでの受賞はハリウッド作品がほぼ独占しており「映像の迫力と山崎監督の技術力の高さが評価された。素晴らしいことだと思う」と強調。その上で「より多くの才能や技術に光が当たり、日本の映画界全体の裾野が広がっていけばうれしい」と期待した。

 「君たちは―」は引退を表明していた宮崎駿監督の復帰作で、国内外で大きな話題に。長編アニメ賞受賞は2003年の「千と千尋の神隠し」以来となった。前橋シネマハウス支配人、日沼大樹さん(37)は「日本映画界にとって明るい話題。アニメは日本の得意分野で、その強みが世界に評価された」と喜んだ。

 「クリエーティブの拠点」を掲げ、Gメッセ群馬のスタジオ活用やロケの誘致に力を入れている本県。県が運営する「ぐんまフィルムコミッション」の大島嗣之さん(45)は「群馬県からもこういった賞を受賞できる作品が生まれたり、VFXやアニメを制作するクリエーターが多く輩出される環境整備を進めていきたい」と話した。

 各映画館の公式サイトによると、県内で「君たちは―」はイオンシネマ太田(太田市)、イオンシネマ高崎(高崎市)、MOVIX伊勢崎(伊勢崎市)、ユナイテッド・シネマ前橋(前橋市)の4館で上映中、「ゴジラ―」はこの4館に、109シネマズ高崎(高崎市)を加えた計5館で上映している。ユナイテッド・シネマ前橋の担当者は「平日にもかかわらず、入場が多い。アカデミー賞効果ですね」と驚いていた。

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