中国万科、格下げの影響「管理可能」と表明 株・社債は反発

Clare Jim Xie Yu

[香港 12日 ロイター] - 中国不動産開発大手の万科企業は12日、格付け会社ムーディーズによる格下げ方向への見直しを受けて、格下げが資金調達活動に及ぼす影響は「管理可能」と表明した。

朝方下落していた万科の株や債券は中盤までに上げに転じ、午後に入って上値をさらに伸ばした。ただ一部アナリストは引き続き万科の長期流動性に懸念を示している。

万科については、資金繰りに問題を抱え、債務返済の繰り延べを一部投資家に求めていると報道され、株と社債は先週、大きく売られていた。

ムーディーズは11日、投資適格級で最低の「Baa3」としていた万科の格付けを取り下げ、同社の全ての格付けを「引き下げ方向で見直す」と発表した。

これを受け、12日の香港株式市場で万科は1%安で始まり、債券も下落した。

一方、万科はロイターに「現在の業務と借り換えは正常で、資金調達手段は安定している」と書面で表明。格下げによる資金調達活動への影響は「管理可能」と説明した。

万科の香港上場株は切り返し、10.3%高で終了。深セン上場株も5.7%上昇。中国、香港両市場の不動産株指数を押し上げた。

同社の社債も上昇に転じた。デュレーション・ファイナンスによると、午前中に額面1ドル当たり67.638セントだった2025年満期ドル建て債は1000GMT(日本時間午後7時)時点で71.252セントに上昇。29年満期債も43.045セントから44.406セントに水準を切り上げた。

KTキャピタルのシニアリサーチャー、ファーン・ワン氏は「今回の格付け見直しの影響を受けるのは、オフショア資金調達活動のみで、オフショアでの資金調達はここしばらく停止している。万科債は少し前からジャンク債として取引されており、ジャンク級への格下げの可能性に対する市場の反応は比較的鈍い」と述べた。

<今年後半がヤマ>

万科は中国不動産業界で数少ない投資適格級企業で、S&Pやフィッチなどがムーディーズに追随すれば、ドル建て社債は世界の代表的な投資指数から除外される可能性が高まる。

北京Gキャピタル・プライベート・ファンド・マネジメント・センターLLPのリ・ゲン会長は「市場は依然、万科の長期債務を懸念している」とし「本格的な圧力がかかるのは今年後半だ。住宅販売の低迷が続く中、適切なタイミングで株主の支援が入らなければ、流動性が枯渇するだろう」と指摘した。

万科の1─2月の販売は前年同期比で40%の大幅減となった。

ムーディーズは、同社の不動産販売の落ち込みや資金調達を巡る不透明感を理由に、今後1年から1年半の間に財務の柔軟性が低下し、流動性バッファーが縮小する見込みだとした。

ムーディーズによると、万科は25年6月までに満期を迎えるか繰り上げ償還権が行使できる外貨建て社債を約140億元(19億5000万ドル)、人民元建て債を約200億元抱えている。

ロイターは11日、中国規制当局が大手銀行に万科への金融支援を強化するよう求め、民間の債務保有者には償還延長について交渉するよう促したと報じた。

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