13年前の「あの日」忘れない 心一つ亡き人悼む 青森・八戸市 #知り続ける

海に向かい、手をつないで黙とうするヒューマンバンドの参加者ら=11日午後2時46分、八戸市の種差海岸芝生地(東奥日報社ドローンで撮影)
蕪島海水浴場で行われた慰霊祭で海に向かって白菊を手向ける参加者=八戸市鮫町

 東日本大震災から13年となった11日、青森県内各地で追悼行事や防災訓練が行われた。東日本を襲った地震と津波を思い返し、犠牲者への祈り、復興への願い、あの日からの教訓を、一人一人が分かち合った。震災から月日がたっても、経験や思いを伝え続けていくとあらためて誓った。

 八戸市の種差海岸芝生地では、横一列になって手をつなぎ、犠牲者に鎮魂の祈りをささげるイベント「HUMANBAND(ヒューマンバンド)on3.11」が開かれた。市内外から約70人が参加、地震発生時刻の午後2時46分に海へ向かって黙とうした。

 主催した同市の市民団体「HUMANBANDあおもり」の小渡章好代表は「小学校や保育園にも参加してもらい、(活動を)つなげていきたい。命続く限り続ける」と話した。

 黙とう前には、震災当時に校長を務めていた同市の北稜中学校で避難者を受け入れた佐藤憲一さん(現八戸ウインドアンサンブル指揮者)が講話。「能登半島地震は天災は忘れた頃にやってくる-と再度警鐘を鳴らしている。これからも災害に対する備えをしたい」と述べた。

 同市の蕪島海水浴場では蕪嶋神社が慰霊祭を行った。祭壇の前で黙とう。13年を迎えたことを受け献花を行い、関係者が13本の白菊を手向けた。野澤俊雄宮司は「今後も絆を大事にしながら頑張って生きていこう」と呼びかけた。

 参加した鮫駅近くに住む中城道子さん(80)は「震災の時は津波で車や魚を入れるタンクが流されるのが見えた。何もすることができなかった。犠牲者を思い出すことが供養になると思う」と話した。

 同市の館鼻岸壁朝市を主催する協同組合湊日曜朝市会(慶長春樹理事長)は、朝市開催中の地震による津波を想定した避難誘導訓練を同岸壁などで実施した。

 出店者など約60人が参加。海に向かって黙とうをした後、館鼻公園と湊公民館の二つの目的地へ向かって歩いた。館鼻公園には15分ほどで全員が到着した。

 出店者の水産加工販売店従業員朽木亮さん(43)は「今回初めて参加したが、地道にやっていかないといけないことだと感じた」と語った。

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