発がん性疑われる物質PFAS、米軍三沢基地東側ため池で「指針の15倍」 市民団体調査

有機フッ素化合物の検出が指摘された五川目堤。東に約3キロ離れた海にもつながっている=11日夕、三沢市三沢淋代平

 米軍三沢基地(青森県三沢市)東側の五川目堤と呼ばれるため池から高濃度の有機フッ素化合物「PFAS」が検出された-と、東京都内の市民団体が11日、調査結果を公表した。国が定める暫定的な目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の約15倍に当たり、大幅に指針を上回っていると指摘している。

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物は、米軍基地での泡消火剤に含まれていたことが確認され、沖縄県や神奈川県の基地周辺の河川や地下水への流出が問題になっている。

 三沢基地では2022年1月、西側にある別のため池から目標値の2倍の濃度に当たる有機フッ素化合物が検出され、以降も数値が下がらない状況が続いている。市民団体「食の安全・監視市民委員会」は別の場所でも基地外に流出している可能性があるとみて、今年1月に調査。環境衛生学が専門の原田浩二氏(京都大准教授)の分析により検出が明らかになった。市民団体の担当者は「市や県は定期的に観察し、汚染源の特定と低減対策の実施が求められる」と訴えている。

 市が管理する五川目堤は東西に200メートルほど延びている。太平洋に水路が通じ、ヘラブナ釣りの愛好家でにぎわうことが多い。市環境衛生課の山本芳彦課長は取材に対し「県と協議して今後の対応を検討したい」と話した。

© 株式会社東奥日報社