「“絵的”なものですね」横浜FCの和田拓也が見ている景色。効果抜群のプレッシング「ゲームの中で感じながら、行けるなって」

ボランチの位置から、鋭い出足でセンターラインを越えてくる。横浜FCのハイプレスに勢いをもたらすアクション。開幕からスタメンを張る和田拓也の動きが目を引く。

相手のビルドアップに対し、常に全力で飛び出していくわけではない。しっかりとリスクマネジメントはしつつ、頃合いを見て、プレスをかける。その強弱が実に絶妙だ。

どんな狙いがあるのか。本人に訊けば「感覚的なもの」と応じ、独特の表現で説明してくれた。

「マークとか、誰が誰を見るとかそこまで関係はないですけど、なんか...“絵的”なものですね。パッて自分が見た景色。その距離感とか、相手の立ち位置とか、首を振っているかとか、ちょっとパスが弱いなとか。そういうのをゲームの中で感じながら、タイミング的に行けるなっていう感じなんです」

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事前に相手のことをそこまで分析するタイプではない。実際の試合ではいろんな状況が生まれる。「ゲームの中で見たものを、情報として自分は整理する」。臨機応変な対応をより重視する。

だからこそ、感覚的な部分が大事になってくるのだろう。相手だけでなく、味方のポジショニングも含め、総合的に判断し、行くか、行かないかを瞬時に決める。「もちろん、失敗することもある」が、プロ16年目の33歳が披露するセンスはきらりと光るものがある。

複数のポジションを高次元にこなし、高い戦術理解度と安定したテクニックを誇る和田が、J1復帰を期すチームの中盤を力強く支えている。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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