GX債の次年度発行3500億円で年4回案、近く参加者と協議へ=関係筋

Takaya Yamaguchi

[東京 12日 ロイター] - 政府が2024年度に予定するGX経済移行債の個別銘柄「クライメート・トランジション利付国債」の発行概要が12日、分かった。1回当たりの発行額を3500億円とし、年4回発行する案が浮上している。市場参加者との協議を経て、近く正式に決める見通しだ。

複数の関係筋が明らかにした。発行初年度の23年度は10年物と5年物で、それぞれ8000億円程度を調達した。次年度は1回当たりの発行額を抑えて頻度を増やし、投資家の需要に応じやすくする。

GX移行債の個別入札は24年5月と7月、10月、25年1月を想定している。現状では5月と10月は10年物で、7月と1月は5年物とする案が出ている。24年度に入札するGX債は年限ごとにリオープン(銘柄統合)発行とし、10年、5年とも2回債として発行する。

GX債は20年物や2年物での発行も可能だが、先に発行した2銘柄に絞ることで流動性を確保する狙い。13日に開催する国債市場特別参加者会合で協議し、正式決定する。

財務省は昨年末の国債発行計画で、24年度のGX債発行予定額として1兆4000億円を計上。1回当たりの発行額や時期、年限はいずれも決めていなかった。

24年2月のGX債入札では、生損保や銀行などの国内投資家に加え、海外からの投資もみられたが、10年物GX1回債8000億円のうち、約4割が市場を介して日銀保有となった。日銀保有比率が7、8割に上る通常の利付債に比べ抑制的とはいえ、投資家層の広がりに弾みを付けられるかが今後焦点となる。

次年度発行に先立ち、鈴木俊一財務相は「世界初の国によるトランジション・ボンドとして、資金の調達のみならず、日本のGX政策への理解醸成や、国内外のトランジション・ファイナンスの拡大に資する、呼び水となることを目指している」と強調した。

政府は、日本をアジアにおける「GX投資のハブ」とする構想を掲げ、国際金融機能を強化。国が20兆円を先行調達することで、官民で150兆円超のGX投資を促したい考え。

(山口貴也 編集:久保信博)

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