米利下げ開始早くても6月、予想上回るCPI受け

[12日 ロイター] - 米国の消費者物価指数(CPI)の伸びが2カ月連続で予想を上回ったことで、市場では米連邦準備理事会(FRB)が6月より早い時点で利下げを開始する可能性は事実上閉ざされたとの見方が大勢になった。一部では利下げ開始は6月以降になるとの見方も出ている。

労働省発表の2月のCPIは前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇。ロイターがまとめたエコノミストの予想は前月比0.4%上昇、前年同月比3.1%上昇だった。

来週19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが決定されるとの見方が大勢。その後については、最近までは4月30日─5月1日の次回会合にも利下げが決定されるとの観測も出ていたが、2月のCPI統計を受けこうした見方は大きく後退した。

BMOのエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は2月のCPI統計について「FRBの神経を和らげるには何の役にも立たない内容だった」とし、「制約的な金融政策がまだ十分に効果を発揮していないのは明らかだ。金融緩和が十分に効果を発揮するにはFRBは忍耐強く、ややタカ派的な姿勢を維持する必要がある」と述べた。

ネイションワイドのキャシー・ボスジャンチッチ氏は、インフレが「粘り強く」なっていることでFRBは警戒感を高めると予想。「5月の利下げもあり得ると考えていたが、少なくとも6月まで待つ可能性が高まった」と語った。

FRBは来週のFOMCで新たな四半期見通しを発表する予定。ただインフレ率が依然として高すぎることから、見通しが示唆する年内の0.25%ポイントの利下げ回数は昨年12月時の3回から2回に減少する可能性がある。

LHマイヤーのエコノミストは「インフレ統計が12月のFOMC時にFRB当局者が総じて想定していた水準よりも過熱していることは明らかだ」と言及。ただ、3月の見通しで大多数のFRB当局者が年内の利下げ回数を2回以下とみていることが示されたとしても、「6月の利下げ開始を必ずしも妨げるものにはならない」とした。

先物市場が織り込む利下げ開始時期の確率は5月が約14%となっているのに対し、6月までが約70%。6月から12月までの利下げ規模については、0.25%ポイントの利下げが4回実施される確率が3回実施される確率をやや上回っている。

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